石仏に導かれて大仙さんを祀る峰へ 多飯が辻山(1,040.3m)
2007年4月28日(土) 仁王さん夫妻+チャコ&門久
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〈素晴らしい晴天に恵まれた多飯が辻山の山頂〉 |
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早朝に広島の自宅を自動車で出て、
朝日に照らされた満開の老巨木の花はやはり心を動かせた。
3時間ほどの桜見物の後、仁王さん夫妻とも落ち合って多飯が辻山の登山口へ急いだ。
登山口は、無形文化財大仙供養田植えで有名な
多飯が辻山の西山麓の竹森林道の沿道にある。
《山行記録》
登山口10:33・・・・10:45堰堤・・・・11:45水平道に出る・・・・11:55大仙神社・・・・12:02多飯が辻山(1,040.3m)(昼食)12:58・・・・13:02大仙神社・・・・13:13水平道から尾根道へ・・・・13:58登山口 〔総所要時間:3時間25分、昼食時間:0時間56分〕(山菜(コシアブラ)を採りながらの山歩きであったため、所要時間等は登山目的では全く参考になりません。悪しからずご了承の上、ご覧ください。) |
10:33 登山口
登山口から竹森林道を約100メートル北へ行った道路の膨らみに自動車を停めて、すぐ近くにポツンと一軒家がある登山口へ。登山口には小さな石仏が祀られてあった。登山道の各所で同じような石仏を見かけたが、江戸時代のものもあった。頂上直下の大仙神社信奉者が奉納したものであろう。かつてはこの山に縦横に参拝道が通じていたという。新緑が始まったばかりの潅木に囲まれた登山道を登り始める。早速にコシアブラの新芽などの山菜や春の花々が目に飛び込んできて、歩行は渋滞した。
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〈桃の花咲く登山口近くの一軒家〉 |
〈登山口にある素朴な石仏〉 |
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〈登山口は新緑がやっと始まったばかり〉 |
〈潅木の中にヤマブキの花が咲く〉 |
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〈もうマムシグサも頭をもたげていた〉 |
〈やや伸びすぎたコシアブラの芽〉 |
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10:45 堰堤
潅木帯は直ぐに終わり桧や杉の植林帯へと入って行った。よく手入れされた林だ。暫し水のあまりない渓流に沿って登って行く。渓流を離れ、斜度のキツイ傾斜地を大きなジグザグを描くように登って行くとやがて尾根上に出る。その辺りから下生えが多くなり、やがて笹が被る道となった。沿道には木漏れ日を浴びて育った潅木があり、その中にコシアブラの若芽(バカの芽)も多くあった。当然に進行は渋滞気味となった。
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〈堰堤付近から植樹林に入る〉 |
〈良く手入れされた森で、木洩れ日に下草も元気である〉 |
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〈尾根筋に上がるとやや笹が被る〉 |
〈急坂を上り切ると水平道となる〉 |
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11:45 水平道に出る
尾根を登り切ったところに「頂上まで20分」と記した指導標があった。そこから水平な登山道が頂上直下の大仙神社まで続いていた。暫し快適な歩行が楽しめる。途中にショウジョウバカマの群生があった。この辺りはやっと春を迎えたということか!この辺りまで、コシアブラの新芽があった。
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〈水平道も美林の中を行く、右手は自然林だ〉 |
〈路傍にショウジョウバカマの群生を発見!〉 |
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11:55 大仙神社
久し振りの大仙神社の建物や境内は手入れをあまりされていないようで、荒れ果てていた。拝殿も些か哀れな風情であったが、奥まった御神体を祀る本殿はつっかい棒で支えられてやっと建っているようであった。久し振りに来ただけに、その間の凋落ぶりがひどく哀しかった。
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〈行く手に大仙神社が見えてきた〉 |
〈随分と荒れている感じだ〉 |
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12:02〜12:58 多飯が辻山(1,040.3m)
大仙神社の左裏手のお稲荷さんの祠の脇から頂上への登山道が通じている。まだ冬枯れの風情を残した樹林の間の急坂を登り切ったところが頂点である。三等三角点と山名を刻した指導標があった。そこから尾根伝いに少し先に行くと、ベンチやブランコのある休憩所がある。北方の眺望も得られる。小奴可や加谷の集落や猫山、道後山などの山々が見渡せる。この休憩所はいつ来てもいつも冷たい風が吹き通っている。登りは汗ばむほどであったが、この日もそこに立つと寒く感じた。南面の傾斜地を少し下って、冷たい風を避けて昼食を摂った。
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〈多飯が辻山の頂上〉 |
〈頂上からちょっと離れてところに休憩所がある〉 |
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〈頂上から |
〈猫山(1,195.4m)〉 |
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〈遥か岩樋山(1,271m)・道後山(1,271m)の連山を望む〉 |
〈今年はスミレの豊年だ〉 |
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13:02 大仙神社
下りは大仙神社から少し戻った地点から塩原の集落へ直接下るルートを採ろうと考えていたが、その分岐点に立ち止まってみると林間を下って行くそのルートは最近踏まれている様子が殆どなかった。かつてこのルートを採ってクロボクの急坂に足元危うく下山したことを思い出し、この様子では相当に荒れているだろうと、登り来た道を引き返すことにした。
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〈登山路脇にまだ馬酔木が咲いていた〉 |
〈下山の途に就く〉 |
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13:13 水平道から尾根道へ
桧や杉の植林地の中の急な道を快適に下っていった。見事に手入れされた林の中は気持ちが良い。備後地区の山々は概して登山道が整備されておらず辛苦を舐めることが多いが、ここ多飯が辻山のメインルートは格別だ。
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〈桧の美林の中を下って行く〉 |
〈木洩れ日にミツバツツジも花開く〉 |
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13:58 登山口
植林帯を抜けて潅木の中の道に帰って来ると直ぐに登山口となる。高い樹の梢の先は出たばかりの新芽で萌黄色を呈している。潅木の中では、ヤマブキやミツバツツジが春の訪れを報知するかのように花開いていた。見事に晴れあった青空の先には、白滝山(1,053m)、飯山(1,009.3m)の美しい稜線が見えた。
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〈登山口付近から白滝山(1,053m)を望む〉 |
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〈萌黄色の梢と青空〉 |
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〔山行所感〕
久し振りに訪れた多飯が辻山であった。「大仙さん祀る峰へ」とのタイトルを振ったが、このイメージは今回の登山には薄いものであった。もう6〜7年前に登ったときには、大仙神社には地元の人たちの手が入っており、お稲荷さんの祠などもピカピカ光っていたと記憶している。この間の凋落、その落差とは何なのだろう?民力の低下、地域共同体の崩壊・・・・などが考えられるが、ここの場合は如何か?
れっきとした千米峰の多飯が辻山であるが、登頂を果たしてもいつも中途半端さを感じる山でもあった。登山口の標高は610m程度、高低差は430m程である。急げば2時間もかからぬ間にピストン出来る山である。この手軽さが、中途半端な感じを生む元であったのだろう。加えて、道中は殆ど植林帯の中で、眺望の面で登山者に大きなインパクトを与える素質は全くない山である。しかし、今回は千鳥別尺のヤマザクラ見物と組み合わせることによって、広島に夕刻には帰れる時間に下山でき、絶妙な一日を過ごすことが出来た。
近いうちにこの山の麓で催される大仙供養田植えを見に行きたいものと思っている。この田植え祭を見たら、またこの山を見る目が変わるかも知れないと思うからである。