石楠花咲く岩尾根を行く 鎌倉寺山(610m)

広島市安佐北区白木町

2007年5月13日(日)   芸北自然保護レンジャー主催行事(日光さん、月光さん、仁王さん夫妻、門久)

 

 

 

 

〈鎌倉寺山南稜から南麓の牛岩集落を俯瞰する〉

 

 

芸北自然保護レンジャー主催の自然観察登山に参加して

鎌倉寺山に行ってきました。

レンジャーのリーダーに導かれて

石楠花咲く岩山を一日歩き、

数多くの植物観察を行ないながら、

グリーンシャワーを潤沢に浴びることが出来ました。

 

      《山行記録》

駐車場所9:14・・・・9:24登山口・・・10:07馬の背・・・・10:19馬の背の頭10:55・・・(自然観察会)・・・11:45馬の背の頭(昼食)12:25・・・・12:32南峰・・・・13:05十畳岩13:12・・・・13:33槍ヶ峰13:38・・・・14:05権兵衛山14:10・・・・14:11鞍部・・・・14:20鎌倉寺山14:23・・・・14:24鎌倉寺跡14:28・・・・・14:42鞍部・・・・15:13渡渉・・・・15:17林道・・・・15:29牛岩集落・・・・15:52駐車場所

〔総所要時間:6時間38分〕

 

9:24 登山口

 総勢7名の登山隊は、鎌倉寺山南稜の南麓の牛岩集落へ行く林道脇の広い待避所に夫々の自動車を停め、準備体操を行ってから関川荘近くの登山口まで赴き登攀を開始した。登山道は、初めから急坂だ。しかも、古い花崗岩質で滑り易い。馬の背の下部からは本格的な岩場である。巻き道もあるが、我らがリーダーは全員を岩場に案内した。岩場を登り切れば馬の背の頭だ。

 

 

 

〈関川荘近くの登山口から登攀開始〉

〈馬の背の頭の岩峰をめざして急坂を登って行く〉

 

 

10:19〜10:55 馬の背の頭

  馬の背の頭(ピーク)で暫し待機することになった。リーダーが自然観察の段取りをするためだ。その間に周囲の眺望を楽しんだ。関川沿いに東広島市志和へ繋がる谷間は大きな景色だ。馬の背の尾根の直下では、農家が田圃に水を張って田植えの準備中であるのがバッチリと見えた。南西の方角には白木山がひときわ高い。360度山また山の景色であるが、どの山も新緑に覆われて美しい。

 

 

 

 

 

 

〈馬の背の岩稜越しに関川の谷を眺望する〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈田圃に水が張られた上三田辺り〉

 

 

 

 

 

〈白木山を望む〉

 

 

 

 

 

 

〈直下の田圃では田植えの準備が進行中〉

 

 

10:55〜11:45 自然観察会

  約1時間リーダーの案内に従って急峻な鎌倉寺山南稜の斜面に下りて行って自然観察を楽しんだ。鎌倉寺山南稜は岩稜で本来野趣に富んだ山であるが、傾斜面の潅木の中はまた一味違う趣きであった。稜線では少ない石楠花の花が多く見付かった。

 

 

 

〈自然観察会でチクシシャクナゲなどを観察した>

 

 

 

 

 

 

 

 

〈チクシシャクナゲは随分と高い樹だ〉

 

 

 

11:45〜12:25 馬の背の頭(昼食)

  再び馬の背の頭に還ってきて昼食となった。芸北自然保護レンジャーとしては珍しくのんびりと昼食を摂ってから、午後の行動となった。この先の縦走路はまだ長い。

 

12:32 南峰(474m)

  馬の背の頭から10分間も経たない間に南峰の頂点を踏んだ。実質的には、この日踏む最初のピークである。行く手に、一際険しく尖がった槍ヶ峰の山体が待ち受けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈南峰の頂上〉

〈南峰から一際高い槍ヶ峰を望む〉

 

 

13:05〜13:12 十畳岩

  南峰から一度鞍部に下り登り返したところが十畳岩である。小グループならゆったりと休憩が出来る広さがある。岩の上からの眺望は優れている。見返せば辿ってきた南峰、馬の背の頭が望め、行く手には槍ヶ峰の先端部分を睥睨する。北方には広々とした志和口の盆地が広がり、稜線直下の南麓には牛岩集落と棚田が箱庭のようだ。

 

 

 

 

 

 

〈十畳岩付近から牛岩の集落を鳥瞰する〉

 

 

 

 

 

 

〈十畳岩から南峰を振り返る〉

〈志和口方面の眺望〉

 

 

13:33〜13:38 槍ヶ峰(537m)

  槍ヶ峰の尖峰への登りは見るからに大変だ。しかし、しっかりと踏み跡を踏みしめて登って行けば危険はない。岩の感触を楽しみたい人は踏み跡然とした登山路を外して露岩の上を辿って行く事だって出来る。土の頂上からは、北の志和口方面の眺望が素晴らしい。県道が志和口から真っ直ぐに延びてきているのが印象的だ。行く手には権兵衛山が聳えている。その山体は意外に大きい。

 

 

 

〈槍ヶ峰の頂上に咲くウラジロの花〉

〈これから行く権兵衛山を望む〉

 

 

14:05〜14:10 権兵衛山

  槍ヶ峰を下り、権兵衛山に登りはじめようとする鞍部に数輪のチクシシャクナゲの花が咲いていた。リーダーが見つけてくれた。尾根上で見る初めての石楠花であった。権兵衛山への登りはいつも意外に長く感じる。鎌倉寺山本体を隠すほどに大きな山体なのでそうなるのだろう。頂上は樹々に囲まれており、眺望には適さない。唯一来し方の眺めに慰められる。             

 

 

 

〈権兵衛山近くの稜線上に咲く石楠花〉

 

 

14:20〜14:23 鎌倉寺山(610m)

  権兵衛山から下ること1分で十字路のある鞍部である。そこから登り返して10分も経たない間に鎌倉寺山の頂上に着く。石楠花などの樹々に囲まれた頂上で、眺望は全く効かない。頂点にあった石楠花の樹を見あげていたリーダーが曰く「今年も花はない。花芽がないので来年も花は咲かない」と。頂上の狭い広場では老年夫婦が食事を摂っていた。我々は頂上直下の鎌倉寺跡に下り、古い五輪塔などの遺物を見た。

 

 

 

〈鎌倉寺山山頂直下にある鎌倉寺跡〉

〈ギンリョウソウ〉

 

 

15:17 林道

  鎌倉寺山から一旦十字路のある鞍部に引き返してから、我々は南側の牛岩に下る道を採った。北に進めば志和口に近い東山ハイツ上の登山口に下れる。南へ下る道は、概して深い森の中をジグザグで下る急な道で、比較的良く踏まれている。リーダーから森の中の樹の名前などを聞きながら下っていくと、長い時間を感じなかった。約50分下って沢を渡る。この渡渉地点は、大雨の直後などは渡ることが難しいであろう。沢から上がると直ぐに林道に出る。「鎌倉寺山登山口」書いた手製の道標が樹にくくり付けられている。そこから10分程林道を歩くと、牛岩の集落に出る。棚田の石垣がきれいだ。

 

 

 

〈林道に出たところに「鎌倉寺山登山口」の道標があった〉

〈牛岩集落の棚田の石積み〉

 

 

 

 

 

〈牛岩集落〉

〈午後遅い斜光を浴びる鎌倉寺山南稜を見上げる〉

 

 

15:52 駐車場所

  牛岩の集落を通り抜けてからも、グリーンシャワーの中の道を下って行った。右手の鎌倉寺山南稜の新緑の樹々もきれいだ。自然観察をしながらのんびりと歩いて、朝方自動車を停めた林道の待避所に着いた。

 

 

〔山行所感〕

  約1年半振りの鎌倉寺山であった。また、今年2月4日の高岳以来の芸北自然保護レンジャー主催行事への参加であった。鎌倉寺山へはもう幾度も来ているが、いつも南稜の岩の尾根を辿り、鎌倉寺山本体に至るルートを歩いていた。今回も基本的にはこのルートであったが、途中で約1時間、尾根筋を外れて急斜面の潅木の中で自然観察をしたのは新鮮であり、楽しいものであった。芸北自然保護レンジャーは、いつも何か新しい山の楽しみ方を教えてくれる。

また、新緑の美しいこの時期、眺望に優れるこの山への登山は、周囲360度新緑の光景に囲まれ、またそこに田植え前後の水田の中に浮かぶような農村風景が加わり、美しい日本の原風景を見るようで実に楽しい。


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