新道を巡って山歩き

丸子頭(1,236.3m) ・ 十方山(1,318.9m)

那須〜前三ツ倉(1,312m)〜丸子頭(1,236.3m)〜藤本新道分岐〜二軒小屋

〜シシガ谷登山口〜十方山(1,318.9m)〜前三ツ倉(1,312m)〜那須

広島県山県郡安芸太田町

2007年5月20日(日)     チャコ&門久

 

 

 

〈十方山頂上からの眺望〉

 

 

リンクさせて頂いている同じ広島県三原市にお住まいの「髭じじーさん」の

 素晴らしいコース設定での山行レポートを読ませて頂いて、直ぐにでもそこに行きたくなった。

広島県内では最も厳しい山のひとつと言われている十方山の山塊を

南麓の那須集落から約二時間登ってから一旦北の二軒小屋に越え、

更にシシガ谷から登り返してから那須集落に帰るという長大なコースである。

十方山への那須ルート、尾根筋と二軒小屋を結ぶ藤本林道など

いつか歩いてみたいと思い続けていたルートが見事に織り込まれている。

将に絶妙なコース設定である。

「髭じじーさん」が歩かれた一週間後の日曜日に

チャレンジしてみた。

 

「髭じじーさん」の山行レポート ←ここをクリックして下さい

 

       《山行記録》

風小屋林道終点駐車場(那須登山口)8:56・・・・9:59(休憩)10:04・・・・11:08前三ツ倉(1,312m)11:10・・・・11:38丸子頭(1,236.3m)・・・・11:53 1152m峰・・・・12:03藤本新道分岐・・・・12:29県道(内黒峠〜二軒小屋線)・・・・12:38二軒小屋・・・・12:40駐車場(昼食)13:07・・・・13:53シシガ谷登山口・・・・14:24(休憩)14:26・・・・15:13十方山(1,318.9m)15:25・・・・・16:00前三ツ倉・・・・17:37風小屋林道終点駐車場(那須登山口)

〔総所要時間:8時間41分、昼食・休憩等:0時間48分、正味所要時間:7時間53分〕

 

 

8:56  風小屋林道終点駐車場(那須登山口)

  中国道を戸河内ICで出て、国道191号線を三段峡方面へ。戸河内の街を過ぎて信号のある「戸河内バイパス北口」交差点を左折しアーチ橋を渡る。内黒峠・恐羅漢山方面への道を右に見送り、吉和方面へ7.9q行ってから、道路標識に従って右折する。2km足らずで那須集落に着く。道なりに集落を抜けて山中へ進んで行くと林道に入るので、従順に舗装道路を走ると終点の駐車場に着く。駐車場のほかには何の設備もないが、この駐車場が登山口だ。

 

 

 

〈風小屋林道終点の駐車場、4台の車は林業関係者のもの〉

〈登山口を出て直ぐに石垣が現れた。開拓村でもあったのか?〉

 

 

 

 

 

〈植林帯を抜けるとブナ、ナラの立派な森が拡がる〉   

〈グリーンシャワーの中を行く〉

 

 

 

 

 

〈ユキザサ、この時節山中の各所で多く見掛ける〉

 

 

 

 

 

 

〈急坂の真中に立つミズナラの古木〉

 

 

 

 

〈稜線近くは見事な巨木の森だ!!〉

 

 

 

  登山口を出て暫くは植林地の中を行く。植林小屋や開拓時代の石垣なども見られる。内黒峠方面(?)への分岐で大きく左折すると、ブナやミズナラなどの美林の中を行く急坂となる。この辺りでは今でも新緑が美しく、好天の下でグリーンシャワーが心地良い。稜線近くになると巨樹の繁る緩やかな道筋となるが、それまでは長い長い急坂だ。路傍にはギンリョウソウ、ユキザサ等々の山野草も多い。

 

11:08〜11:10 前三ツ倉(1,312m)

  前三ツ倉のピークで内黒峠と十方山を結ぶ縦走路に出会った。ここを右折して内黒峠方面への道を採った。概して伸びやかな稜線歩きといった感じだ。丸子頭の手前の鞍部への下りでは、臥龍山、深入山、恐羅漢山などを遠望出来る絶好のポイントがある。この日は空気も澄んで素晴らしい眺望が得られた。

 

 

 

〈前三ツ倉で内黒峠からの縦走路に合流する〉

〈前三ツ倉から内黒峠方面への伸びやかな尾根道〉

 

 

 

 

 

〈尾根筋から遠く臥龍山(1,223.4m)を望む〉

 

 

 

 

 

〈こちらは砥石郷山(1,177.0m)だ〉

 

 

 

 

 

〈内黒峠への縦走路の先に遠く深入山(1,153.0m)が望める〉

 

 

 

 

 

〈丸子頭の先にスキー場のある恐羅漢山(1,346.4m)を望む〉

 

 

11:38 丸子頭(1,236.3m)

  丸子頭は三角点のある頂点だが、残念ながら三角点は森の中だ。このピーク近くをトラバース気味に通過して下って行く。再び登り返すと1,152m峰だ。この小ピークは見事なブナの林に覆われており気持ちの良いところだ。ピークを過ぎると約100mの高低差を一気に下る急坂が待っている。下り切ったところはカサゴヤキビレと呼ばれる鞍部である。我々は、このキビレまでは下らず、急坂の途中から左に分岐する藤本新道を採った。

 

 

 

〈丸子頭を通過:三角点はこの森の中だ〉

〈樹木に覆われ緑なす稜線を行く〉 

 

 

 

 

 

 

 

〈樹々越しに内黒峠への縦走路の通る尾根を遠望する〉

 

 

 

 

 

〈1,152m峰の頂上部はブナの林だ〉

 

 

 

12:03 藤本新道分岐

カサゴヤキビレの丸子頭寄りの稜線上に広島県山岳連盟が建てた一枚の標識が立てられている。二軒小屋と内黒峠を指している。ここから二軒小屋までの間が初めて通る藤本新道である。標識にも書いてある通りで「地主さんの厚意」により開かれた登山道である。杉の植林地と自然林の境目を順調に下って行く。内黒峠から二軒小屋へ下る車道へ出る手前だけは、滑り落ちそうなかなりの急坂だ。車道に出ると二軒小屋までは歩いても10分程度だ。

 

 

 

〈藤本新道の分岐〉

〈藤本新道を行く。左は杉の植林、右は自然林だ〉

 

 

 

 

 

〈最後は滑り落ちそうな急坂となり車道に出る〉

〈恐羅漢山を眺めながら車道を二軒小屋まで下って行く〉

 

 

12:38〜13:07 二軒小屋

  二軒小屋でもう昼を過ぎてしまっていた。先の道程を考えると若干気が焦るところもあったが、トイレのある駐車場の外れの日陰で昼食を摂ることにした。人間は、食べるとまた落ち着くものだ。段取りの良い昼食で、食後のコーヒーも含めて30分ほどで終えることが出来た。二軒小屋まで延びて来ている緑公団の林道であるが、物議を醸しているこの先の細見林道は既に二軒小屋から少し先の民家までの間で工事が始まっている。

 

 

 

〈車道を下り切るとお馴染みの二軒小屋である〉

〈二軒小屋から先の細見林道は緑公団が拡張工事に着手している〉

 

 

13:53 シシガ谷登山口

  細見谷林道は大きな岩が路面に出て相変わらず歩きにくい。その林道に面したシシガ谷登山口からシシガ谷に入る。暫く林道跡を歩き、奥まったところで細くなった本流に沿った山道となり、やがて渓流を外れて稜線上へと登って行く。上部に行っても登山道沿道は湿気が多く、バイケイソウなど湿原を好む植物が多い。最後には笹原に出て、その中を進むと草地の山頂に飛び出た。

 

 

 

〈シシガ谷登山口〉

〈シシガ谷の渓流に沿った登山道〉

 

 

 

 

 

 

〈このルートは頂上部まで湿地帯を行く感じ〉

 

 

 

 

〈頂上直前に聳えるブナ〉

 

 

 

15:13〜15:25十方山(1,318.9m)

  この日の十方山の頂上はみごとに晴れ上がった空の下にあった。もう午後3時を過ぎた時間で、我々のほかに登山者の姿はなかった。静かな山頂からの眺望は素晴らしいものであった。ここからの第一の眺望は、吉和冠山・寂地山の連山であろう。平原の向こうに横たわっている。南の方角には広島湾の島々がはっきりと肉眼でも見えた。長居をしたいところであったが、時間的に許されないところ。早々に下山にかかった。

 

 

 

〈平原状の十方山々頂〉

 

 

 

 

 

〈吉和冠山(1,339.0m)、寂地山(1,337m)の連山を望む〉

 

 

 

 

 

〈遥か広島湾が望める〉

 

 

16:00 前三ツ倉(1,312m)

  十方山々頂から論所(ろんしょ)の鞍部、奥三ツ倉のピークを経て、再び前三ツ倉に帰った。ここからはもう午前中に登って来たルートを下るだけである。西陽が差し込む森の中を、樹々の美しさを愛でながら下っていった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈奥三ツ倉から十方山山頂を振り返る〉

〈那須への下山路を覆うブナの大木〉

 

 

 

 

 

〈那須ルートにはカエデの巨木も多い〉

 

 

 

 

 

〈西陽が射し込む那須ルートの森〉

 

 

17:37 風小屋林道終点駐車場(那須登山口)

  8時間40分に亘る長い山行を無事終えて下山。西陽を浴びる那須集落にちょっと立ち寄って帰路に就いた。

 

 

 

〈那須集落〉

〈集落を流れる渓流はあくまでも綺麗である〉

 

 

 

 

 

〈西陽の中の那須集落〉

 

 

〔山行所感〕

  我々の体力ではグロスで8〜9時間はかかるかなと思いつつ歩いた山の旅であった。やはり8時間を超える時間がかかったものの、充実した山行(山旅)であった。十方山への那須ルートの樹木や下生えの自然の素晴らしさを確認出来たこと、この山域への山行に多様性を与えてくれる藤本新道を踏査出来たことなど、得るものも多かった。特に十方山へのルートは、これからも四季折々に幾度も通ってみたいと思う道である。きっと、何度歩いても飽きることはない道であろう。ウェブサイトを通じて導いて頂いた「髭じじーさん」に感謝申しあげます。

 

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十方山山塊の花々

 

 

 

 

ギンリョウソウ

(イチヤクソウ科ギンリョウソウ属)

ホウチャクソウ

(ユリ科チゴユリ属)

 

 

 

 

 

 

シュンラン

(ラン科シュンラン属)

チゴユリ

(ユリ科チゴユリ属)

 

 

 

 

 

 

コケイラン(小恵蘭)

(ラン科コケイラン属)

笹の花

(イネ科)

 

 

 

 

 

 

ユキザサ(雪笹)

(ユリ科ユキザサ属)

ミヤマシキミ(果実)

(ミカン科ミヤマシキミ属) 

 

 

 

 

 

 

クロモジ

(クスノキ科クロモジ属)

エンレイソウ

(ユリ科エンレイソウ属)

 

 

 

 

 

 

ナガバモミジイチゴ)

(バラ科キイチゴ属)

ナナカマド(蕾)

(バラ科ナナカマド属)

 

 

 

 

 

 

ウマノアシガタ(キンポウゲ)

(キンポウゲ科キンポウゲ属)

ニョイスミレ

(スミレ科スミレ属)

 

 

 

 

 

 

バイケイソウ

(ユリ科シュロソウ属)

ミツバチグリ

(バラ科キジムシロ属)

 

 

 

 

 

 

 

ミヤマシキミ(蕾)

(ミカン科ミヤマシキミ属)

 

 


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