両峰間のショートカットルートを踏査する 駒ヶ林(509m)・焼山(暫定490m)
2007年7月16日(月) 海の日 門久単独
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〈駒ヶ林から焼山を望む、ひとっ跳びで行けそうな距離だ!〉 |
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海の日を最終日とする三連休。 初日は台風4号が接近。
中日は台風一過の晴天となったものの朝のうちまだ風強く山行には不適と判断した。
そして最終日、前日の天気予報は曇、それでは遠出はなるまいと近場の宮島へ渡ることを決意した。
目的は駒ヶ林と焼山を直接結ぶ踏み跡の踏査と宮島大聖院の奥院方面を歩いてみること。
早朝に自宅を出てJRの電車で宮島に向かったのだが、電車に乗っている間に雨模様となってしまった。
はてさて、この山行如何相なりましたでしょうか・・・・?
《山行記録》
宮島桟橋8:27・・・・9:02大元公園入口9:03・・・・9:04大元神社・・・・9:33冨士石9:34・・・・10:33岩屋大師10:47・・・・10:47焼山取付(乗越)・・・・10:54駒ヶ林分岐・・・・11:00駒ヶ林(509m)11:14・・・・11:22鞍部・・・・11:24(尾根上)・・・・11:26焼山取付(乗越)11:27・・・・11:31(駒ヶ林岩盤展望)11:33・・・・11:34焼山(490m)(昼食、最後に雷雨)12:19・・・・・12:22焼山取付(乗越)・・・・12:26岩屋大師分岐・・・・13:26大元神社・・・・13:42厳島神社鳥居13:45・・・・13:58宮島桟橋 〔総所要時間:5時間31分、昼食・休憩等:1時間37分、正味所要時間:3時間54分〕 |
8:27 宮島桟橋
宮島口駅までの電車に乗っていた間に雨脚のかなり強い雨が降ったが、連絡船に乗り換えて宮島に向かう頃には雨は上り、宮島の山々も曇天の下ではあるがくっきりと姿を現していた。雨に降られてしまったので、足元が羊歯などで濡れない広い登山道のコースということで、大元コースを辿って先ず駒ヶ林に登ることとした。
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〈宮島への連絡船から弥山、駒ヶ林、焼山を見上げる〉 |
〈宮島桟橋に接岸したJR西日本の連絡船〉 |
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9:04 大元神社
大元神社に山行の安全を祈願して随分と久し振りの大元コースを登り始めた。大元橋の手前でいつも「この先行き止まり」と書かれている前峠への道が右に分岐する。橋を渡って直ぐにまた雨脚の強い雨となった。登山道は世界遺産の宮島原生林の中を行くので、あまり雨粒は気にならない。小さな傘だけ差して登って行った。ただ雨の降りは強くなる一方で、原生林の中は昼なお暗い状態になってきた。岩海と呼んでも良い累々とする岩石の中の薄暗い道を上る様は将に密教の修行のようでもあった。焼山への取付きのある乗越近くまで上って来ると、霧が巻いていた。霧の中に駒ヶ林の岩壁を見上げた。岩屋大師と呼ばれる断崖下の石室には、弘法大師が祀られている。この石室を参拝している間に、雨が上ってくれた。
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〈大元公園の入口近くにある大元神社〉 |
〈大元ルートは先ず大元園地の中を行く〉 |
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〈園地を抜けると石段の多い急坂続きの道となる〉 |
〈急坂を登り続けると駒ヶ林の岩壁の下に出る〉 |
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〈岩屋大師の石室〉 |
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〈霧の中に聳える駒ヶ林の岩壁〉 |
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10:47 焼山取付(乗越)
急坂を登り切ったところが駒ヶ林と焼山との間の鞍部(乗越)である。右手の崖の道を登って行くと直ぐに焼山の頂上であるが、取り敢えずはこのルートを敬遠して駒ヶ林へ急ぐことにした。焼山には駒ヶ林からのショートカットルートを踏査して来てから登ることにする。乗越を過ぎると南から東の眺望が開ける。岩船岳へと伸びる宮島主稜の峰はまだ霧の中だった。弥山へと続く大元ルートの登山道は直ぐに駒ヶ林への道を左に分ける。駒ヶ林に向かった。
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〈宮島主稜は霧の中であった〉 |
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〈乗越から崖の道を上ると焼山だ〉 |
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11:00〜11:14 駒ヶ林(509m)
駒ヶ林頂上の岩盤の上は無人であった。本格的な雨が降る中をここまで登って来る登山者はいないのであろう。対面の弥山(535m)方面から人の声がするので望遠レンズで頂上付近を覗いてみると、弥山の展望台の上に2名、頂上広場にも幾人かの人影が見えた。弥山には悪天候ながらも登山者がいるようだ。
駒ヶ林頂上の岩盤の上を行き来して、焼山へ抜ける地形を観察してみたが、樹木に遮られてとても見通すことは出来なかった。樹木越しに見える焼山の頂上は、ひとっ跳びで着地出来そうな位の直ぐ目と鼻の先だ。ここは潅木の中に踏み込んで、行ってみるしかなさそうだ。
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〈駒ヶ林の頂上から霧に隠された広島市街地方面を眺望する〉 |
〈駒ヶ林の対面は宮島主峰・弥山(535m)だ〉 |
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〜〜〜駒ヶ林から焼山へのショートカットルートの踏査行〜〜〜 出発点は駒ヶ林頂上の「竜ケ馬場(駒ヶ林)」の案内板の足元だ。ここから岩盤の裏手の潅木の中に踏み込んで行った。繁みの中に薄いながらも何とか踏み跡が残っていたので、そこを辿って行った。黄色い苔の生える大岩の下まで進むと、踏み跡が消えていた。古いテーピングがあり、どうも雨水が流れた跡の急傾斜地を真っ直ぐ下って行くようであった。ここは、足元が悪く充分注意して下って行く必要がある。下り切ったところは鞍部となっていた。ここから駒ヶ林と焼山の間にある小山(連絡船上から見上げるとこの小山の存在がよく分かる)に取り掛かる。鞍部からの登りははっきりとした踏み跡があり迷うことはない。1分間程で尾根筋へ出る。尾根にもはっきりした踏み跡が付いているので、そこを辿って行くと、最後は倒木の切り株の間を抜けて、何と焼山への取付口の鞍部(乗越)に出た。この間、いろいろと観察する時間を含めて12分を要した。慣れれば、10分もかからないルートであろう。
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11:26〜11:27 焼山取付(乗越)
ここに出て来るとは考えていなかったので、出てきた時には些か驚いた。しかし、後で地形を観察したり、地図を眺めたりしてみると、ここしかないという所に踏み跡が付いていることが分かった。ちょっと外れると、大岩壁となったり、岩場となり歩くことは困難であろう。
乗越に暫し佇んでから、焼山に登り始めた。崖の上に攀じ登り、乗越に面した岩盤に上がって、駒ヶ林の大岩壁や大野瀬戸の大眺望を俯瞰した。
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〈焼山への登山道から駒ヶ林の大岩壁を眺望する〉 |
〈連絡船の行き来する大野瀬戸も一望出来る〉 |
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11:34〜12:19 焼山(暫定490m)
乗越の取付口から焼山の頂上まで、真っ直ぐに登れば数分で登れる。今日もここは無人であった。朝、大元園地を出てから誰にも会っていない。もう1時間ほど雨が降っていないことから、眺望が開けた頂上の岩の上を右へ左へと移動して360度の景観を楽しんだ。
眺望を楽しんだ後は、のんびりと昼食だ。食後のコーヒーも楽しい。食後は奥院方面を歩いてから、多々良林道を歩いて下山しようか、あるいは弥山にも登って四ノ宮コースでも下ろうかなどと考えていたとき、大野浦を挟んだ船倉山上空で光った稲光に真横から照射された。その後、雷鳴が轟き、雨が降り始めるまでが早かった。雨はともかく、雷は怖い。取り急ぎ荷物を片付けて、ここは迷わず来た道を下山することにした。
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〈焼山頂上から駒ヶ林(左)と弥山(右)を眺望する〉 |
〈弥山の右肩には能美島、その沖に大黒神島、小黒神島が浮かぶ〉 |
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〈宮島主稜線の先に岩船岳を望む〉 |
〈見下ろせば宮島の街や厳島神社の大鳥居などが俯瞰出来る〉 |
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〈厳島神社の大鳥居沖を行き交う連絡船と牡蠣いかだ〉 |
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12:22 焼山取付(乗越)
雷と雨に追われるように下山を開始した。乗越から下山路に入って宮島原生林の中を歩くようになると、雷の恐怖も薄らいできた。それでも、島の真上辺りで雷が鳴ると、島全体が揺れるようであった。雨脚は強くなり、今度はなかなか止みそうになかった。またしても薄暗くなった原生林の中の急坂の道をひたすら下り続けた。
13:26 大元神社
大元園地まで下ってくると雨脚も緩くなってきた。ここの園地内のモミの古木はいつ来ても素晴らしいと思う。島嶼部の海岸線近くにモミの木が自生することは珍しいことで、かつて宮島は本土と陸続きであったが、陸地が沈降して島となったことを物語るものであるという。大元神社に無事の下山の報告と御礼の参拝を済ませた。
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〈海岸部にモミが繁るのは珍しいという〉 |
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〈大元園地にはモミが繁る一画がある〉 |
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13:42〜13:45 厳島神社大鳥居
大元神社から海岸線に出て水族館の裏手を通ってから、西松原に入った。ちょうど厳島神社の大鳥居近くまで潮が引いていたので、大鳥居近くの浜を横切って対岸に渡った。ここまで帰ってくると沢山の観光客の姿があった。
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〈厳島神社の大鳥居と干潮の浜で遊ぶ親子連れ〉 |
〈厳島神社の舞台には大勢の観光客や婚儀の人達の姿が…〉 |
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13:58 宮島桟橋
沢山の観光客で賑う表参道商店街を歩いて宮島桟橋へ。途中、家族への土産のお菓子を買った。連絡船に乗る頃、また雨が降り始めた。海上から見る雨に煙る宮島の景観もオツなものであった。
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〈雨に煙る宮島の大鳥居と霧が巻く後背の峰々〉 |
〈雨に煙る宮島も時には新鮮に見えるものだ!〉 |
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〔山行所感〕
7月の3連休最終日の登山は、雨に降られ、雷に打たれて当初の目的の半分しか成就出来ない結果となった。雨はまだ我慢が出来るが、山行に雷は最も相容れない存在である。焼山の山頂で稲光に照射されて、潔く諦めがつき下山した。
ここ暫く気になっていた駒ヶ林と焼山を最短距離で結ぶバリエーションルートの存在を確認出来たのは、大きな収穫であった。このルートの存在に最初に気付いたのは、いつのことであったろうか、駒ヶ林頂上の岩盤の蔭から登山者が姿を現したのに気付いた時であった。その時に、あの岩盤の裏手を下って行くと、大元コースのどこかに出れる筈だと直感した。暫くして、ホームページをリンクさせて頂いている「山で乾杯! 我ら初級中年登山隊」の山本隊長がこのルートの存在をウェブ上で問い掛けておられたのに気付き、同じことを考えている方がいらっしゃると心強く思った。
踏査してみて、まだ一般の方々に是非通ってみて下さいとご推奨する程に良く踏まれたルートとは思えなかった。特に、駒ヶ林の頂上から鞍部までの下りはまだ安定しない急な下りである。雨が降れば踏み跡は流されるようだ。あくまでも、バリエーションルートとして、リスクを承知で踏み込む所であると思う。危険を許容できない方々は、駒ヶ林分岐経由の一般登山道を通るべきです。短い距離ですから、どちらを通っても時間的に大きな差が出るわけではないのですから。
今回、奥院方面には足を伸ばすことが出来なかったのは、残念であった。ここはまた次の機会を楽しみに・・・・。