雨上がりの霧の中 市川登山口から初めて登る 白木山(889.3m)

広島市安佐北区白木町

2007年7月22日(日)    門久単独

 

 

 

〈霧に巻かれた白木山山頂〉

 

 

梅雨明けもそろそろという週末であったが、前日はこの上はないという程の蒸した一日、

若干なりともの好転を期待したこの日は朝食を摂っていると霧に加えて生憎の雨模様となった。

行きたいところはあったのだが、こんな天気では何処に行っても楽しいことはないものだ。

こんな日は近場での積年の課題に取り組むに限ると、雨が降る中を白木山へ出掛けた。

何年か前に地元の人から「40分ほどで初日の出を見に白木山に登る」という話を聞いていた。

その登山口こそ市川登山口、そこから白木山に登ってみようという企てである。

この天気であるから、当然に眺望や快適な登山などは期待せずにである。

その登山口は、可部の先の大林と白木町の上三田を結ぶ林道の最高地点の峠から、

更に白木山の北東尾根の南面に頂上に向かって延びる林道の沿道にある。

雨の中をクネクネとした狭い林道を走って行くと、登山口に着く頃には雨脚も弱くなってきた。

 

《山行記録》

 白木山登山口10:22・・・・10:30杉林を抜ける・・・・10:59北東尾根上(土管の灰皿)・・・・11:10「黄金の水」11:15・・・・11:20白木山(889.3m)12:04・・・・12:14北東尾根下り口(土管の灰皿)・・・・12:40登山口

〔総所要時間:2時間18分、休憩等:0時間46分、正味所要時間:1時間32分〕 

 

10:22 市川登山口

  広島市街地より国道54号線を北上し可部の街を抜けて大林のヤマサキ製パンの工場の直ぐ先の「大林小学校入口」交差点を右折する。狭い道なので対向車に注意しながら、草田、野平谷の集落を抜けて桧山へ。「白木分かれ」のバス停先の三差路を左に採り、山裾をなおも行くと再び三差路に出合う。ここには道標があるので、それに従って白木方面へ右折する。この上三田に抜ける林道を峠まで上り切ると、峠から右折して山中に伸びているダートの道があるので、そこに入る。そのダートの道を走ること1.5qで沿道に立つ「白木山登山道」の道標に出合う。ここが、市川登山口である。道路の反対側が三段に造成されており、上二段には駐車可能、三段目にはコンクリート製の椅子つきテーブルが三つ、その奥には藤棚が設けられていた。トイレはない。

  国道54号線から登山口までの距離の概要は次の通り。

大林小学校入口(5.5q)白木分かれバス停(1.2km)三差路(2.1q)峠(1.5q)市川登山口

 

  登山口で小雨にはなっていたが、まだ降る可能性があったので雨具を身につけた。登山口を出ると直ぐに桧林の中に入る。綺麗に手入れされた林だ。10分足らずでその植林帯を出ると、潅木の繁る白木山北東尾根の南面をトラバース気味に頂上方向に緩やかに登って行く。登山道はきれいに整備され歩き易い。少々は荒れているかと想像していたが、全く予想は外れた。このトラバース道を約30分行くと、左手に下って行く道があり、その分岐に「水害により下への通行だめ、左へ進行して下さい」と記された立て札があった。この立て札のある地点から、登山道が斜度を増して北東尾根の稜線上へと上っていった。

 

 

 

〈桧山・上三田間の林道の峠から白木山にダートの林道が延びる〉

〈市川登山口:林道脇から入山する〉

 

 

 

 

 

〈市川登山口近くにある椅子付きテーブル〉

〈登山口に掲げられた道標〉

 

 

 

 

 

〈登山道は先ずは綺麗に整備された桧林を通る〉

〈白木山北東尾根の南面をトラバースして行く登山道〉

 

 

 

 

 

〈山は霧の中、白い霧以外何も見えない〉

 

 

 

 

〈立て札から尾根上に上って行く登山道〉

 

 

10:59 北東尾根上(土管の灰皿)

  北東尾根の稜線上に上がると、道のど真ん中に土管を立てた「灰皿」があった。嫌煙、健康志向の強い今の時代に合わない登山者への配慮の遺物である。白木山へは左手に尾根を緩やかに上って行く。右手に下って行くと桧山へ下山できる筈であるが、こちらは倒木も多く、現在ではあまり歩かれている気配はなかった。尾根筋の登山道もよく整備され、馬酔木の樹のトンネルなどもあり気持ちが良かった。行くほどに斜度が増してきて、虎ロープが張られたよく滑る急坂を登って、暫し巻き道を行くと頂上直下の「黄金の水」への分岐に出合った。

 

 

 

〈北東尾根に上ると灰皿代わりの土管がを立つ〉

〈北東尾根を辿る登山道〉

 

 

 

 

 

〈馬酔木の並木道、まるでトンネルだ〉

〈虎ロープを張った急坂〉

 

 

11:10〜11:15 黄金の水

  「黄金の水」とは白木山の頂上の直ぐ下の鞍部に湧く水場である。北東尾根から10メートル程度下ったところにある。苔生す岩の間から一筋の清水がコンコンと湧き出でている。直ぐ上に古い白木の柱の案内があったが、そこには「河津川の源流」と書いているのが何とか読めた。ここから流れ出る川は大槌川、やがて河津川と名を変えてから三篠川に流れ込む。「黄金の水」への分岐に戻ると、また虎ロープの張られた急坂が待っていた。雨上がりでよく滑る坂道であった。そこを登り切って右から押手山からの道を合わせて行くと直ぐにポッカリと樹観に空間があいて白木山の頂上に出た。

 

 

 

〈「黄金の水」分岐を示す道標〉

〈岩清水の湧く「黄金の水」〉

 

 

 

 

〈頂上直下で押手山からの縦走路と合流する〉

 

 

 

 

〈最後の上りも虎ロープを張った急坂だ〉

 

 

 

11:20〜12:04 白木山(889.3m)

  白木山の頂上は濃い霧に包まれて全く眺望がなかった。広場の片隅にある小屋でさえ霧に隠れようかという程の濃い霧であった。いつもは大勢の登山者で賑うこの山の頂上広場であるが、到達した時には3人の登山者がいただけであった。そのうちの2人が直ぐに下山したので、残ったのは私も含めて2名だけとなってしまった。こんな静かな白木山山頂は珍しい。朝から雨だったので、皆さん出鼻を挫かれたのであろう。

霧で何も見えないので、安佐南区から来られた今年5月から登山と始めたという単独行の中年男性と暫し山談義をしていると、小屋から白木山の常連さんが出てきて話に加わり、山談義は続いた。12時前後に2組のグループ登山の方々が登ってこられて、少々賑やかになってところで、弁当も持たずに登ってきていたので、早々に下山することにした。やや長談義をし過ぎたか・・・!

 

 

 

 

 

〈角が欠けてしまっている白木山頂上の三角点〉

〈霧に巻かれて鉄塔もかくの如し〉

 

 

 

 

 

〈霧の中で白木山神社の周りも静かであった〉

〈白木町 市川桧山方面を辿った〉

 

 

12:14 北東尾根よりトラバース道へ

  午後になっても天気は好転せず、樹間を漂う霧が一層濃くなって行った。ただ黙々とよく整備された道を下って行った。

 

 

 

〈雨上がりの急坂はよく滑った、ロープが有効!〉

 

 

 

 

〈霧は濃くなるばかり・・・〉

 

 

12:40 市川登山口

  下山は30分余で登山口に着いた。登山口も濃霧。何も見えなかった。身支度を整えて帰路に就いた。帰りは白木町の上三田に出て、県道を広島市街へと向かった。

 

 

 

〈濃い霧に巻かれた市川登山口〉

〈花の少ない時節である、野アザミが輝いていた〉

 

 

 

 

 

〈上三田へ下る峠道から霧に隠れた白木山方面を見上げる〉

 

 

〔山行所感〕

雨の降る中を霧に巻かれた山へ行くなど、あまり利口な人間のすることではない気がする。しかし、今回のルートは、こんな状況でないと仲々足を運ばないルートであったことも間違いない。

日本アルプス登山の足慣らしの場としても広島の登山者に親しまれている白木山である。高低差が約800mと大きく、また斜度も厳しいということからである。ところが今回辿ったルートは、この二つの要素を否定するところであった。登山口は多分標高650mほどで頂上との高低差は240m程度、斜度は殆どが長い尾根筋をトラバース気味に登る緩やかな道で、おまけに岩でゴツゴツした道の代わりに落ち葉の積もった道と、おおよそ世間が持つ白木山のイメージとは全く合わないところであった。

白木山にも綺麗な歩き易い道を1時間以内という短時間で登れるルートがあるということを実際に辿って確認出来たことには意味があったと思う。このルートの活用方法は、初日の出の見物など頂上に目的があって早く着きたい時に限るような気がする。ここのピストンだけでは、歩き足らずフラストレーションが溜まりそうだ。

 

【山行に先立ち 「山歩きと山野草のページ」 さんの 「白木山(04.12.30)」 を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。】

 

〔BACK〕

〔HOME〕

 

 

inserted by FC2 system