ユートピアのお花畑を訪ねて 三鈷峰(1,516m)・象ケ鼻(1,550m)
2007年7月28日(土) 仁王さん夫妻+チャコ&門久
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〈ナンゴククガイソウ咲く三鈷峰への尾根から霧のユートピアを望む〉 |
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この週末から北アルプスへの遠征を計画していたのだが、
彼の地は未だ梅雨が明けない様子に、止む無く遠征を延期した。
そうすると、この週末にポッカリと空白の時が生じることになった。
そこをこれ幸いと、
ずっと週末の天気が悪く一時は諦めていた大山ユートピアのお花畑探訪で埋めることにした。
中国地方は梅雨明け後最初の週末で、天気予報も吉と出ていた。
仁王さん夫妻も急遽の企画であったが参加するという。
だが、いざ行ってみると一日中霧に巻かれたユートピア周辺であった。
それでもお花畑だけは、我々の期待を裏切ることはなかった。
《山行記録》
大山寺駐車場7:49・・・・8:01大山寺山門前・・・・8:13大神山神社奥宮8:23・・・・8:26下宝珠越道分岐・・・・8:59下宝珠越9:01・・・・9:27中宝珠越・・・・10:16上宝珠越10:20・・・・10:39ユートピア分岐10:42・・・・10:59三鈷峰(1,516m)11:43・・・・12:02ユートピア分岐・・・・12:09ユートピア小屋・・・・12:22象ケ鼻(1,550m)12:32・・・・13:10上宝珠越13:17・・・・13:23砂滑り最上部・・・・13:33堰堤(休憩)13:40・・・・14:01元谷(行者道ルートに合流)・・・・14:23大神山神社奥宮14:30・・・・14:43大山寺山門前・・・・14:58大山寺駐車場 〔総所要時間:7時間09分、昼食・休憩等:1時間39分、正味所要時間:5時間30分〕 |
7:49 大山寺駐車場
午前4時過ぎに広島の自宅を発って3時間半足らずで大山寺の駐車場に到着した。大山寺橋詰の駐車場は満杯であった。好天の下の登山を信じてやってきたのだが、どこから見上げても大山は雲の中であった。晴れる見込みの有無とて分かぬ中、身支度を整えて登り始めた。今日の主目的はお花畑の見物、雨さえ降らなければ何とかなる・・・と気持ちもやや軽い。
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〈大山寺の駐車場から見上げる大山、三鈷峰方面は霧の中〉 |
〈静かな大山寺の旅館街の石畳を行く〉 |
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〈大神山神社奥宮への桟道、日本一長い自然石の道という〉 |
〈参道に立つ夫婦杉〉 |
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8:13〜8:23 大神山神社奥宮
大神山神社奥宮で登山の安全を祈願し、女坂への下りにあるトイレを借りて長丁場への備えを整えた。神社裏から森に入り数分行くと下宝珠越方面への分岐がある。そこから狭い谷間の道を登って行く。10分ほどで林道を横断する。急坂が続くが、沿道にはもう多くの花々が咲いていた。登るほどに霧が濃くなっていった。
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〈霧に包まれた大神山神社奥宮への階段を上る〉 |
〈権現造りの大神山神社奥宮の本殿、神仏混淆の名残りという〉 |
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〈下宝珠越への登山道を行く〉 |
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〈細い谷間も霧に巻かれていた〉 |
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8:59〜9:01 下宝珠越
下宝珠越からは宝珠尾根を辿る。中宝珠越までの間は見事なブナの森の中を行く。今回はその森が霧に巻かれて幻想的な光景を醸していた。30分足らずで中宝珠越に下るが、その辺りで暫し霧が開いて三鈷峰の崩落壁を仰ぐことが出来た。ここから上宝珠越の間に、宝珠尾根上にも2箇所の崩落地点がある。虎ロープなどが張られているので、注意深く通過すれば何てことはない。数組のグループと前後しながら宝珠尾根を進んだ。
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〈下宝珠越に置かれている道標〉 |
〈下宝珠越から中宝珠越への尾根は見事なブナの森だ〉 |
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〈中宝珠越で霧が開いて三鈷峰の崩壊壁が姿を現した〉 |
〈なお宝珠尾根を行く中で、瞬時三鈷峰がその全容を見せた〉 |
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〈宝珠尾根の上部と元谷上部の北壁は雲の中である〉 |
〈上宝珠越直前の崩落箇所を注意深く通過する〉 |
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10:16〜10:20 上宝珠越
上宝珠越に着いた。大山北壁も三鈷峰も霧に閉ざされていたが、暫し佇む中でやや霧が開けて不十分ながらもそれらが姿を見せてくれた。神や仏は我々を完全には見捨ててはおらず、時折その慈悲の心を開いてくれるお積もりのようだ。この日最後の青空の下のユートピア避難小屋も望めた。ここまで来たら、ユートピア分岐まであと30分もかからぬ距離である。
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〈上宝珠越から霧の中から瞬時現われた北壁を見上げる〉 |
〈三鈷峰への尾根筋の先端に三鈷峰のピークが見える〉 |
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〈上宝珠越から見上げたユートピア避難小屋、なんと青空も!〉 |
〈勝間ケルンの下をユートピアへと向かう〉 |
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10:39〜10:42 ユートピア分岐
ユートピア分岐に着くと、何と尾根上には強い風が吹いていた。帽子が飛ばされそうだったので帽子を取った。尾根筋には見事なお花畑が拡がっており、このお花畑に咲く花々を強風が荒々しく揺すっていた。
さすがに花の盛りの時期の大山ユートピアだ! この悪天候にも拘らず実に大勢の登山者が登ってきており、このユートピア分岐でも狭い広場を埋めつくすほどの人達が休息をとっていた。落ち着かぬユートピア分岐から、霧と強風の中であったが、三鈷峰へ急ぐこととした。
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〈ユートピア分岐に立つ道標〉 |
〈ユートピアから三鈷峰へ続く尾根筋もお花畑だ〉 |
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〈霧に巻かれた尾根筋のお花畑〉 |
〈三鈷峰の崩壊壁を覗きこむ〉 |
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10:59〜11:43 三鈷峰(1,516m)
強風の中を飛ばされぬように注意して尾根筋を伝って行った。尾根筋は見事なお花畑だ。小さなピークを越えると、左手には深い崩落壁が待ち受けている。そこを注意深く登って行くと、三つのケルンが立つ三鈷峰の頂上だ。頂上広場の周りもお花畑となっていた。その花などを眺めながら、早い昼食を摂った。ユートピアや大山方面は白い霧の閉ざされてはいたが、時折神仏のご慈悲でそれらが姿を現してくくれた。
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〈三鈷峰の頂上、三つのケルンが積まれている〉 |
〈三鈷峰の頂上広場の周りもお花畑だ〉 |
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〈三鈷峰から霧に閉ざされた大山北壁を望む〉 |
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〈三鈷峰から霧の開いたユートピアを望む〉 |
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12:02 ユートピア分岐
昼食を終えてユートピア分岐に還ってきた。狭い尾根道を30人もの団体がやってきて渋滞していた。移動中に霧がよく開けて、三鈷峰は当然のこと、大山の天狗ヶ峰や剣ヶ峰の姿も束の間ながら見ることが出来た。ユートピア分岐は、昼食を摂る人など相変わらず大勢の登山者でごった返していた。
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〈ユートピア分岐付近から霧が開いた三鈷峰を望む〉 |
〈霧が開いた天狗ヶ峰、剣ヶ峰を眺望する〉 |
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12:22〜12:32 象ヶ鼻(1,550m)
ユートピア分岐、ユートピア避難小屋周辺なども、昼食を摂る沢山の登山者で溢れていた。周りは見事なお花畑となっており、目が離せない。象ケ鼻まで登って行くと一段とお花畑は見事であった。象ヶ鼻で昼食中の登山者と暫し話しをし、記念写真を撮ってもらってから下山にかかることとした。その頃には濃い霧に包まれてもう眺望はなかった。下山中にも多くの花々に出合い、観察のため渋滞しながら下って行った。
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〈象ケ鼻直下には見事なお花畑が拡がる〉 |
〈象ケ鼻周辺は濃い霧に巻かれてしまった〉 |
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13:10〜13:17 上宝珠越
上宝珠越からは砂すべりを通って元谷に下った。砂すべりの状態はまあまあで、霧の中を快調に下った。霧は深くなる一方で、もう山の姿を見ることはなかった。
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〈上宝珠越からは砂すべりへ回り元谷へと下る〉 |
〈霧に閉ざされた砂滑り〉 |
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〈砂滑りを快調に滑って下る〉 |
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14:01 元谷・行者コース登山道合流
荒々しい元谷を下って行くと、やがて弥山への夏山登山道の途中から下ってくる行者コースの登山道と合流した。ここから、また森の中に入るので、その前に元谷の奥を振り返ったが、相変わらずの濃い霧で眺望は開けてなかった。
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〈元谷の氾濫原、樹々にも苛酷な環境だ〉 |
〈元谷を見上げるも完全に霧に閉ざされている〉 |
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14:23〜14:30 大神山神社奥宮
見事な森の中を抜け、朝方通った下宝珠越方面への分岐点を経て大神山神社奥宮に還り着いた。ここで身辺を整えてから、参道を歩いて大山寺の門前へと下って行った。
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〈大山寺への参道に立つ地蔵尊〉 |
〈大山寺山門〉 |
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14:58 大山寺駐車場
かくして、無事に下山完了!!
〔山行所感〕
天気予報では快晴の筈であったのだが、実際には霧の一日であった。そんな中ながら、雨がほとんど降らなかったのは幸運であった。大山ユートピアのお花畑の見事さは、年々広く伝聞されるのであろう。この日も悪天候ながら、ユートピア周辺では昼食場所の確保もままならないほどの大勢の人出であった。天候はともかく、お花畑はその見事さ、美しさにおいて登山者を魅了していた。ナンゴククガイソウ、シモツケが最も存在感を誇っているかに見えたが、その他にも多くの種類の花々を目にすることが出来た。ここは夏の花々の素晴らしい宝庫である。この夏も、来年も、ここのお花畑は登山者を魅了し続けるであろうと思う。来年は晴天の下でこのお花畑を見てみたいものだ・・・・!
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大山ユートピア周辺の花々
(2007年7月28日)
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トチバニンジン(実) (ウコギ科トチバニンジン属) |
ソバナ (キキョウ科ツリガネニンジン属) |
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ヤマジノホトトギス (ユリ科ホトトギス属) |
ヤマツツジ (ツツジ科ツツジ属) |
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ホタルブクロ (キキョウ科ホタルブクロ属) |
ヤマブキショウマ (バラ科ヤマブキショウマ属) |
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ノリウツギ (ユキノシタ科アジサイ属) |
クサボタン (キンポウゲ科センニンソウ属) |
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シモツケソウ (バラ科シモツケソウ属) |
コオニユリ (ユリ科ユリ属) |
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オオバギボウシ (ユリ科ギボウシ属) |
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ナンゴククガイソウ (ゴマノハグサ科クガイソウ属) |
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シモツケソウ (バラ科シモツケソウ属) |
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シシウド (セリ科シシウド属) |
ダイモンジソウ (ユキノシタ科ユキノシタ属) |
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ミヤマホツツジ (ツツジ科ミヤマホツツジ属) |
ダイセンオトギリ (オトギリソウ科オトギリソウ属) |
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キュウシュウコゴメグサ (ゴマノハグサ科コゴメグサ属) |
イヨフウロ (フウロソウ科フウロソウ属) |
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ハナニガナ (キク科ニガナ属) |
カラマツソウ (キンポウゲ科カラマツソウ属) |
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ホソバシュロソウ (ユリ科シュロソウ属) |
ヤマオダマキ (キンポウゲ科オダマキ属) |
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ホソバノヤマハハコ (キク科ハハコグサ属) |
ダイモンジソウ (ユキノシタ科ユキノシタ属) |
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ヤマアジサイ (ユキノシタ科アジサイ属) |
ウバユリ (ユリ科ウバユリ属) |
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(花の同定は苦手です。誤りや勘違いがあるかと思います。ご先達の皆様のご教示をよろしくお願いします。)
Special Thanks:「大山の風」のたくやさんに「トチバニンジン、ヤマジノホトトギス、シモツケソウ、コオニユリ、ハナニガナ、ホソバノヤマハハコ」についてご教授いただきました。