下界は猛暑、山上はもう初秋の気配 深入山(1,153.0m)・鎧滝

広島県山県郡安芸太田町・北広島町

2007年8月18日(土)      チャコ&門久

 

 

 

 

〈ススキの穂が出て秋めいてきた深入山山頂付近、遥か阿佐山塊を望む〉

 

 

今年4月から気象庁は一日の最高気温が35℃以上の日を「猛暑日」と呼びことになった。

この日の広島はこの猛暑日が予報されていた。このところ連日の猛暑日である。

こんな日はどこか高い山の頂で涼しい風に吹かれていたいもの。

先週の掛頭山のような眺望が良くて、風も通るような山は・・・、と考えてみた。

その答は、深入山!!

草地の山で灼熱の夏に登るのは如何なものかと思うのが一般的なところであるが、

この山には遠回りではあるものの、「林間コース」という樹林の中を行く登山道も用意されている。

今回はこの樹林の中の日陰の道を辿って頂上に至り、頂上直下の東屋で涼しい風に吹かれようという心算。

さて、登ってみた結果は、

気温30℃前後で汗みどろとなったものの、素晴らしい眺望に、頂上広場や東屋を吹き抜ける風も爽やかで、

いつの間にかススキの穂も出て、萩、マツムシソウ、桔梗、オミナエシなどの花々も咲き、

山上は早くも初秋の佇まいとなっていました。

下山後は更に涼しい水しぶきを求めて大佐川の深い渓谷に懸る鎧滝の滝壺まで下ってみました。

 

 

《山行記録》

南登山口駐車場9:41・・・・9:46沢左岸の踏み跡へ・・・・9:58渡渉・・・・10:09西登山口分岐10:17・・・・10:36展望岩10:42・・・・10:47八畳岩・・・・10:50東屋・・・・11:02深入山(1,153.0m)11:22・・・・11:31東屋(昼食)12:08・・・・12:13八畳岩・・・・12:20展望岩12:22・・・・12:38西登山口分岐・・・・12:57麓の巻き道合流・・・・13:02(沢左岸道分岐)・・・・13:13南登山口駐車場

〔総所要時間:3時間32分、昼食・休憩等:1時間13分、正味所要時間:2時間19分〕

 

桜の広場13:55・・・・14:01車止め・・・・14:30鎧滝14:49・・・・15:16緑の広場分岐・・・・15:27桜の広場 

 

 9:41 南登山口駐車場

  深入山南登山口の広い駐車場に自動車を停めさてもらった。「林間コース」はこの南登山口から左方向に山の麓を巻いて登山道が延びている。その巻き道を行き始めると、路傍のススキの原っぱに沢山の桔梗の花がもう咲いていた。

 

 

 

〈南登山口から深入山を見上げる〉

〈「林間コース」は南登山口から左への巻き道を採る〉

 

 

 

 

 

〈巻き道の傍らにはもう桔梗が花を開いている〉

〈桔梗:秋の訪れを感じさせる花だ〉

 

 

 9:46 沢左岸の踏み跡へ

  草地から森林へ入ったところで巻き道は小さな沢を渡る。「林間コース」は森の中をなお暫く行ってから右折して頂上方面へ上って行くことになるが、我々はその小さな沢の手前から右手に上がって行く沢伝いの踏み跡に入って行った。この方が近道との判断からだ。踏み跡は沢の奥までは笹がやや被さる程度で歩き易かったが、沢を渡って休憩舎のある尾根上まで上がる傾斜面にかかると俄かに身の丈より高いススキの原に突入し、ススキのトンネルの中を伝うようにして、やっとこさ尾根上に出ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

〈小さな沢の左岸を行く踏み跡を辿った〉

〈小さな沢であるが清水が流れていた〉

 

 

 

 

 

 

〈笹の中に女郎花(オミナエシ科)に花が咲いていた〉

〈ススキの繁みでナンバンギセル(ハマウツボ科)を見付けた〉

 

 

10:09〜10:17 西登山口分岐

  西登山道分岐で本来の「林間コース」の登山道に出た。明るい尾根上で、高台には休憩用の東屋もある。ここから登山道は深入山西面の樹々の繁った傾斜面をトラバースするように緩やかに登ってゆく。

 

 

 

〈西登山口分岐:ススキのトンネルを抜けてここへ出た〉

〈コオニユリ咲く尾根筋から深入山山頂方面を望む〉

 

 

 

 

 

〈西登山口への分岐点近くにある東屋〉

〈草原に咲くカワラナデシコ(ナデシコ科)、秋の七草のひとつだ〉

 

 

 

 

 

〈「林間コース」の登山道、涼しげな樹間を行く〉

〈初夏ここはツツジ見物で賑うようだ〉

 

 

10:36〜10:42 展望岩

  深入山の西斜面をトラバースした登山道が頂上から北西方向に下る尾根にかかかるところに西側に向かって眺望が開けた大きな展望岩がある。遥か横川川の谷間の両脇に恐羅漢山、十方山が聳えているのが雄大だ。暫しこの眺望を楽しんでから、北西尾根を辿って頂上へと急いだ。

 

 

 

〈展望岩から南西方向の眺望、豊かな森林が拡がる〉

 

 

 

 

 

 

 

〈向真入山越しに十方山、恐羅漢山、砥石郷山を望む〉

 

 

 

 

〈八畳岩から深入山山頂を望む〉

 

 

 

 

 

 

〈八畳岩近くにもうマツムシソウ(マツムシソウ科)が咲いていた〉

〈深入山山頂直下の東屋付近を登り来る登山者の列〉

 

 

11:02〜11:22 深入山(1,153.0m)

  頂上直下の東屋の脇を通って円形の深入山の山頂部に一気に登った。先ず麓から運んで来た小石を頂上広場の禿げた地面に置いた。頂上広場からは360度の眺望が拡がる。これを見るために猛暑の中を登ってきたのだ。気温29.9℃。今日も空気の透明度は高い。南西方向の十方山・恐羅漢山方面と北東方向の阿佐山の山塊が一際素晴らしい。山頂付近の草原には、秋を感じさせる花々が多い。

 

 

 

〈深入山山頂〉

〈深入山の北側にある臥龍山・掛頭山の山体〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈頂上から南西方向の峰々〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈頂上から北東方向の阿佐山山塊の峰々〉

 

 

 

 

 

 

〈オトギリソウ(オトギリソウ科)〉

〈ヤマハギ(マメ科)、これも秋の七草のひとつ〉

 

 

 

 

 

〈キスゲ(ユリ科)〉

〈ゲンノショウコ(フウロソウ科)〉

 

 

 

 

 

〈ツリガネニンジン(キキョウ科)〉

〈フジバカマ(キク科)か? これも秋の七草の一つ〉

 

 

11:31〜12:08 東屋(昼食)

  頂上広場で眺望や花々を楽しんで後、頂上北面直下の東屋に引き返して風通しの良い日陰で昼食を摂ることにした。既に二組の登山者の方々がおられた。皆さんも同じ趣きであった。ここの風の心地良さといったら、もう帰りたくなくなるほどであった。東屋の周りのススキの原っぱでは、もうススキが穂を出して一足早く初秋の訪れを告知しているかのようであった。

 

 

 

〈涼しい東屋から深入山の頂上部を仰ぎ見る〉

〈積乱雲と深入山頂上部〉

 

 

 

 

 

〈ススキの穂が出た深入山の草地と北東方向の山地の遠望〉

 

 

12:20〜12:33 展望岩

 

12:38 西登山口分岐

  下山も上りと同じ「林間コース」の道を辿った。ただ西登山口への分岐からは本来の「林間コース」の整備された登山道を通った。草地の深入山の眺めも大きく気持ちが良かった。また森の中に入ると、笹で覆われたコナラの森が見事で、これまた歩くのが楽しくなる道であった。

 

 

 

〈「林間コース」の登山道脇にもススキの穂が出揃っていた〉

 

 

 

 

 

〈「林間コース」登山道から西登山口分岐の東屋と頂上部を望む〉

〈登山道の通る森林の中はかくも見事なコナラと笹の森だ〉

 

 

13:13 南登山口駐車場

  かくして、眺望と花々に恵まれた深入山への「林間コース」を辿る山行は終わった。

 

 

 

鎧 滝 へ

 

深入山から下山したのはまだ早い時間であった。

そこで帰路ちょっと回り道をして太田川の源流域のひとつ大佐川の深い谷に懸るという

鎧滝に立ち寄ってみることにした。

 

13:55 桜の広場

  深入山から鎧滝へは、自動車で先ず国道191号線を戸河内IC方面へ約4.8km引き返し、国道が直角に右折する「松原」交差点を左折して旧芸北町方面への県道に入り約6.2km行くと大規模林道との交差点に出合うのでそこを右折する。大規模林道を約2.6km行った左手に桜広場があるので、その広場に自動車を乗り入れて停めよう。

  桜広場入口に道標があるので、それに従って補修用道路を歩いて行くと、すぐに車止めがあり、やがて山道となって大佐川が穿った谷に下って行く。道は草も刈り取っており歩き易かった。20分もあれば、滝壺近くまで下って行ける。

 

 

 

〈大規模林道の沿道にある桜広場、鎧滝への入口だ〉

〈桜広場に建つ鎧滝への道標〉

 

 

 

 

 

 

 

〈下降路の中ほどから鎧滝を見下ろす〉

 

 

 

 

〈下降路から大佐川の深い谷を眺める〉

 

 

 

 

14:30〜14:49 鎧滝

  難なく滝の下手の川岸まで下っていったが、この日は川の水量が多く、そこから滝壺まで行くにはそのままでは靴を濡らさないと流れを渡れないようであった。そこで靴を脱いで裸足で渡渉することにし、何とか滝壺の脇に渡ることが出来た。

  滝壷脇に立つと流れ落ちる瀑布の迫力、音は圧倒的であった。何と言ってもこの滝は、大佐川の本流に懸っており、川を流れる水は全て滝となって流れ落ちるわけだから、迫力がつくというものだ。滝の高さは15メートルとそんなに高くはないが、滝壷は長さ35メートル、幅25メートル、深さは最深部で7.5メートルと大規模なもので、見るからに満々と水を湛えた滝壺には風格が感じられた。

 

 

 

〈鎧滝を正面から見る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈大佐川の本流に懸る大きな滝である〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈人が入ると滝の大きさの想像がつくだろうか!〉

 

 

 

 

〈この日はかなり水量が多かったようだ!〉

 

 

 

 

15:27桜の広場 

  谷底にある滝からの帰りは登り道となる。暑い日の午後で暑い目に合うのではと危惧したが、滝壺で十分に涼むことが出来たお陰かそれほどに苦痛を感じることもなく登り切ることが出来た。

 

 

〔山行所感〕

  猛暑日に山に登って涼しい風に吹かれようという企ては、深入山の林間コース、頂上直下の東屋の存在という環境を得て見事に成功した。また下山後に鎧滝を訪ねることが出来たのも、暑気払いには打って付けのことであった。その上に山上では秋の七草のうち六つに出会え、早々と初秋の趣を感じることが出来たのも楽しいことであった。人間が「暑い暑い」と言っている間にも、自然界は確実に季節の刻みを緩めることなく進めているようだ。

 

〔BACK〕

〔HOME〕

 

 

inserted by FC2 system