初秋の花咲く草原の山 雲月山(911.8m)

広島県山県郡北広島町・島根県浜田市金城町

2007年9月2日(日)   チャコ&門久

 

 

 

 

〈初秋の風が吹く雲月山〉

 

 

9月最初の週末の天気予報は芳しいものではなかった。

停滞する秋雨前線に南からの湿った大気が流れ込み全般に曇がちで、所により雷雨という予報であった。

しかし、このところ天気予報は当らず、前日の土曜日も湿度は高かったものの雨が降ることはなかった。

この日もうまく外れてくれる可能性が高いと勝手に考えて出掛けることにした。

行き先は、雨が降っても、霧に巻かれてもあまり困らないように、

高低差が少なく、秋の山野草が楽しめる旧芸北町最北端、島根県境の雲月山とした。

広島市内から旧豊平町を経由したルートと採ったが、

行くほどに沿道の山々の頂上部は雲の中に隠れており、楽しい山行の期待は抱けない様子であった。

しかし、旧芸北町に入ると空も随分と明るくなり、

雲月山に着く頃には周囲の山々の頂から雲も取れてなかなか良い眺望を得られるところとなった。

 

《山行記録》

雲月峠駐車場10:48・・・・11:00第1ピーク(岩座山)11:06・・・・11:22鞍部・・・・11:28第2ピーク(高山)11:37・・・・11:59雲月山(911.8m) 12:51・・・・13:10 859mピーク・・・・13:28仲の谷・・・・13:38展望台下駐車場・・・・13:53雲月峠駐車場

〔総所要時間:3時間05分、昼食・休憩等:1時間07分、正味所要時間:1時間58分〕

 

 

10:48 雲月峠駐車場

  広島・島根県境の雲月峠の登山口から歩き始めることにした。峠の広島県側には駐車場とキャンプ場が開かれており、水洗のトイレも設置され登山の身支度を整えるには便利だ。「雲月山」の指導標の左右両方から登山道が始まっている。今回は右手の道を採った。

 

 

 

〈雲月峠の登山口に立つ指導標〉

 

 

 

 

 

〈登山口から伸びる道はススキで飾られた花道のようである〉

〈旧芸北町章で飾られた雲月峠登山口〉

 

 

11:00〜11:06 第1ピーク(岩座山)

  登山口の直ぐ上の第1ピークは岩座山と呼ばれているという。このピークに立てば、雲月山の全体を眺望出来るほか、ほぼ樹林で覆われた旧芸北町の奥原地区の平原、遥か北には三瓶山や高野毛無山から猿政山などの県境の山々も眺望出来た。眺望も佳とするが、足元のお花畑も素晴らしい。(花々は別途掲載することとします。)

 

 

 

〈岩座山と呼ばれる第1ピーク〉

〈旧芸北町奥原地区の平原〉

 

 

 

 

 

〈牛の放牧が復活し生産活動を行っている山に変わった〉

 

 

 

 

 

〈第1ピークから雲月山の頂上方面を眺める〉

〈第1ピークから第2ピークを望む〉

 

 

11:28〜11:37 第2ピーク(高山)

  第2ピークは高山と呼ばれという。このピークからは島根県側の山並や日本海が望める。島根県西部の山々を同定する能力がないのは残念であるが、その累々たる山並は捨て難い。この第2ピークのお花畑も素晴らしい。

 

 

 

〈第2ピークから雲月山頂上方面の眺望〉

〈白骨林化した樹々が林立する第1ピーク南面の火災痕〉

 

 

 

 

 

〈第2ピークから見た島根県西部の山並〉

〈北方には猿政山など県境の峰々を遠望出来る〉

 

 

11:59〜12:51 雲月山(911.8m)

  第2ピークからは草原の縁のなだらかな稜線を辿って雲月山の最高点に達する。芝で覆われた頂上広場の中央に標高911.8mと記した指導標があり、すこし離れて二等三角点が設置されている。国土地理院の地形図では、この三角点の標高は911.2mで、指導標より60cm低い。その間にそれだけの差があるということであろう。(ここでは多くのガイドブックと同様に、指導標の911.8mを採用することとします。)

  頂上からは真正面に天狗石山、高杉山などの芸北の山々が、右手の南方には大佐山や臥龍山などが、北方には三瓶山などが望める。この素晴らしい眺望と共に、気温25℃の心地良い風に吹かれながら、昼食を摂ったり山口県のグループの方々や萩からのご夫妻と山岳同定や登山談義をして楽しんだ。

 

 

 

〈標高911.8mと記した指導標の立つ雲月山の頂上〉

〈遥か三瓶山のシルエットが望める〉

 

 

 

 

 

〈真正面の東側には芸北の山々が望める〉

〈目を南に転ずれば大潰山の先に西中国山地の盟主たちが・・・〉

 

 

13:10 859mピーク

  下山は草原を周回することにして、県境尾根を南に回り込んだ。その南端が859mのピークである。このピークで周回路は県境尾根を外れて北へ方向転換して仲の谷という谷へ下って行く。

 

 

 

〈高山、岩座山の2つのピークとその間に三瓶山が垣間見える〉

〈展望台下の駐車場からの巻き道が裾を通る岩座山〉

 

 

13:28 仲の谷

  滑り易い坂道を下って仲の谷へ。草原の谷の底である。細い渓流を渡ると、渓流沿いに上ってくる林道に出合った。その林道の突き当たりに牛の放牧用の柵と餌場が設けられてあった。放牧地となっている草地には電気柵が引かれているが、その電源もここにあるようである。

 

 

 

〈仲の谷へ下りにはオミナエシが綺麗に咲いていた〉

〈仲の谷に設けられていた牛放牧用の柵〉

 

 

13:38 展望台下の駐車場

  仲の谷から階段状の急坂を上ると展望台下の駐車場へ出る。雲月峠の手前にあって、ここも利用度の高い雲月山への登山口の一つだ。アップダウンを好まない向きには、こちらの登山口がお奨めであろう。

 

 

 

〈展望台下の駐車場から雲月山頂上方面を望む〉

〈展望台下の駐車場から岩座山の裾を巻く登山道が伸びる〉

 

 

13:53 雲月峠駐車場

  展望台下の駐車場から雲月峠駐車場までは車道を歩く。普通に歩けば10分間くらいの距離だ。ただ、道路脇の繁みは各種の花が咲くお花畑然としており、これらに付き合っていると時間がかかって仕方がない。駐車場に帰ったら、将に雲月山の草原を一周したことになる。

 

 

 

 雲月山花々 

 

雲月山の草原を一周する間に沢山の花々と出合った。

花が最も多かったのは、第1ピーク(岩座山)と第2ピーク(高山)の頂上周辺であった。

草原の中にお花畑然と多くの花が咲いていた。

その他にも草原の外縁に設けられた周回路の沿道にも点々と各種の花々があった。

雲月峠の駐車場周辺や車道の沿道にも花々が多い。

言ってみれば、雲月山の山域の至る所で花が見られるということになる。

風が強く小さな花々の写真を撮るには厳しいコンディションだったものの、

周回中に何とかカメラに納めた草原の花々を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

カワラナデシコ

(ナデシコ科ナデシコ属)

ゲンノショウコウ

(フウロソウ科フウロソウ属)

シロヨメナ(ヤマシロギク)

(キク科シオン属)

 

 

 

 

 

 

 

 

オタカラコウ

(キク科オタカラコウ属)

ツリガネニンジン

(キキョウ科ツリガネニンジン属)

 

 

草原を渡る強風に吹かれるキキョウ

 

 

 

フジバカマ

(キク科ヒヨドリバナ属)

オミナエシ

(オミナエシ科オミナエシ属)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミツバテグリ

(バラ科キジムシロ属)

ワレモコウ

(バラ科ワレモコウ属)

ウツボグサ

(シソ科ウツボグサ属)

 

 

 

 

 

 

キキョウ

(キキョウ科キキョウ属)

マツムシソウ

(マツムシソウ科マツムシソウ属)

 

 

 

 

 

 

 

 

ナンバンギセル

(ハマウツボ科ナンバンギセル属)

オトギリソウ

(オトギリソウ科オトギリソウ属)

ヤマジノホトトギス

(ユリ科ホトトギス属)

 

 

 

 

 

 

シュロソウ

(ユリ科シュロソウ属)

キンミズヒキ

(バラ科キンミズヒキ属)

 

 

 

 

 

 

 

 

アキノタムラソウ

(シソ科アキギリ属)

マルバハギ

(マメ科ハギ属)

ノアザミ

(キク科アザミ属)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヤマラッキョウ

(ユリ科ネギ属)

 

 

 

アカソ

(イラクサ科カラムシ属)

第1ピークの草原はお花畑だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ママコナ

(ゴマノハグサ科ママコナ属)

フジグロセンノウ

(ナデシコ科センノウ属)

シシウド

(セリ科シシウド属)

 

 

 

 

(花の同定は相変わらず苦手です。誤りや勘違いがあるかと思います。ご先達の皆様のご教示をよろしくお願いします。)

 

 

〔山行所感〕

  悪天候を承知の上での山行であったが、天気予報がうまく外れてくれて、雲月山々上で心地良い風に吹かれ眺望も程々の拾いもののようなハイキングとなった。3年振りの雲月山であったが、2年前から野焼き(4月初旬に実施)が復活し、昨年からは牛の放牧が再開されたということである。牛のいる雲月山というのは、「生きている山」、「生産活動をしている山」という感じがして、歩いていても心穏やかになる。

  初秋の一日この山を歩いて見て、花々の多さに驚いた。カメラに納めたものでも25種類あった。野焼きや放牧の復活が植生に大きな影響を与えるだろうが、この山は花の山としても楽しい所であるのは間違いない。駐車場に自動車を停めれば、もう花畑の中と言える。気軽に幾度も訪ねてもよい山だと改めて思った。

 

 

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