南アルプスの核心部を行く山旅 荒川岳(3,141m)・赤石岳(3,120.1m)

千枚岳(2,879,8m)   静岡県静岡市葵区

悪沢岳(東岳)(3,141m)   静岡県静岡市葵区

中岳(3,083.2m)   静岡県静岡市葵区

前岳(3,068m)   静岡県静岡市葵区

小赤石岳(3,081m)   静岡県静岡市葵区

赤石岳(3,120,1m)   静岡県静岡市葵区

 

2007年9月21日(金)〜9月23日(日)  門久単独

 

8月の北アルプスは立山・剣岳への山行が不調に終って

やや不完全燃焼気味な夏山の感が残っていた。

9月に2度ある連休のいずれかに休暇をプラスして山行を決行し

この失地を回復することを考えながら暮らしてきた。

9月後半の2度目の連休にプラスして2日間の休暇が取れることとなり、

天気予報も良さそうなので、

今度は南アルプスの核心部ともいうべき荒川岳三山・赤石岳をめざすこととした。

登山口となる大井川の上流の畑薙ダムは広島からは実に遠いが、

海岸部からの交通の不便さを考慮して自動車で行くこととした。

体調を崩したチャコの回復はならず、門久単独での決行となった。

 

 

《9月21日(金)・第1日目》

 

畑薙夏期駐車場7:04・・・・7:22畑薙第一ダムバス乗り場7:33====8:35椹島ロッジ入口8:40・・・・8:46潮見橋・・・・10:05林道・・・・11:52清水平・・・・12:44見晴台12:53・・・・14:56千枚小屋

〔椹島ロッジ入口から  総所要時間:6時間16分、昼食・休憩:0時間33分、正味所要時間:5時間43分〕

 

 7:04 畑薙夏期駐車場

  広島から長駆750キロメートル余り。東名高速道を降りてからでも3時間もかかる。実に遠い。今年7月の台風4号の被害で畑薙第一ダムの下流部の県道が崩落したので、自動車を夏期駐車場へ置いてから椹島への送迎バスの発着する畑薙第一ダムサイトまで歩かねばならない。所要時間20分足らず。

 

 

 

〈畑薙夏期駐車場〉

〈復旧工事の進む台風4号による県道60号線崩落箇所〉

 

 

 7:22〜7:33 畑薙第一ダムサイトバス乗り場

  ダムサイトで東海フォレストの運行する山小屋利用者の送迎マイクロバスに乗った。登山口の椹島(さわらじま)までほぼダートの道を約1時間かかって走った。快晴の空の下、聖岳や赤石岳が谷間に垣間見えた。

 

 

 

〈草薙第1ダムサイトから送迎バスが発着する〉

〈朝の草薙湖、遠く茶臼岳・上河内岳が望める〉

 

 

 8:35〜8:40 椹島ロッジ入口

  送迎バスの運転手は、終点の椹島ロッジの少し手前のロッジ入口で我々登山者を降ろした。少しでも登山口に近い方が良かろうとの判断のようだ。暫し登山支度をして、いよいよ登山開始だ!!

 

 

 

〈椹島ロッジ入口で送迎バスを降りて登山支度〉

〈椹島ロッジ入口の立つ指導標〉

 

 

 8:46 潮見橋

  千枚小屋方面への登山口はロッジ入口から5分ほどの潮見橋の袂にある。暫し大井川源流部の左岸を行き、吊橋で右岸に渡ると急坂が始まった。ツガやモミの樹々の繁る森の中を行く道だ。深い森で眺望は望めないが、一瞬おまけのように樹間に荒川岳が見えたりする。ちょっと儲けた気になる。

 

 

 

〈潮見橋:千枚小屋方面への登山口はこの橋の袂にある〉

〈千枚小屋や荒川三山方面への登山口〉

 

 

 

 

 

〈吊橋を渡ると栂や樅の繁る急坂が始まる〉

〈樹間に一瞬見えた悪沢岳・中岳〉

 

 

10:05 林道

  登山口から1時間15分ほどで林道に出た。登山道の辿る尾根には、小屋近くのかなりの高度の所まで林道が敷設されている。登山道は直ぐハシゴを登って森の中に入っていく。登るほどに林相が変わり、シラビソの森へとなった。50分程で再び林道を横断し、緩やかに長い尾根を登って行った。深いシラビソの森に中にある貴重な水場で簡単な昼食を摂りながら休憩し疲労回復に努めた。

 

 

 

〈一端林道に出た登山道はハシゴを登って再び樹林の中へ〉

〈悪沢岳とその右肩に千枚岳が見える、小屋までまだ遠い

 

 

 

 

 

 

 

 

〈登るほどにシラビソの森となる〉

 

 

 

 

〈深い森の中に流れる清水、貴重な水場だ〉

 

 

11:52 清水平

  水場の直ぐ上にある清水平には実に見事なシラビソの森が拡がっている。苔生す林床も美しい。こんな綺麗な森を歩くと実に幸せな気持ちになってくる。三等三角点の脇に倒木のあった蕨段を抜け快調に歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈清水平は見事なシラビソの森で覆われている〉

〈苔生す林床も美しい〉

 

 

 

 

 

〈蕨段は小さな草原のあるところだ〉

〈蕨段にある三等三角点(標高2,073.2m)〉

 

 

12:44〜12:53 見晴台

  蕨段から15分足らずで見晴台のある小さな岩場の下を登山道が通る。注意していないと気付かずに通過してしまいそうだ。岩場の上には林道が通ったいたが、そこからこの尾根道で唯一荒川三山と赤石岳が同時に眺めることが出来る。なるほど絶景だ!!

  見晴台から先は小屋までまだまだ遠い。見事なシラビソの樹林の中に、東海フォレストの明治時代の伐採跡や木馬道などの案内板が立てられてあり興味深かった。駒鳥池の辺りから登山道は左手の谷を大きく迂回して小屋に向かって行った。

 

 

 

〈見晴台から見上げた荒川三山〉

〈見晴台の正面には赤石岳が聳える〉

 

 

 

 

 

〈シラビソの自然林の中に明治時代の切株が残る〉

〈谷を越えて今夜の宿となる千枚小屋を望む〉

 

 

14:56 千枚小屋

  午後4時頃に千枚小屋に到着予定であったが、一時間も早く着くことが出来た。昭文社の山と高原地図を参考にしているが、どうも所要時間が不確かな気がする。見晴台から千枚小屋まで所要3時間とあるが、実際には2時間で着いた。

  早く着いたのは儲けものと、小屋の上にも上がって赤石岳、聖岳、上河内岳などを眺め、小屋に帰ってからは三脚を立てて夕食を挟んで夕陽を浴びた富士山を撮影した。富士山を間近に眺められるのは、南アルプスだからこそだ。

 

 

 

 

 

 

〈椹島から6時間余りかかって千枚小屋に到着した〉

 

 

 

 

 

 

〈千枚小屋の上から赤石岳のシルエットを望む〉

〈赤石岳の左手には聖岳、上河内岳が望める〉

 

 

 

 

 

〈東の方角には日本一の富士山の秀麗な姿が〉

〈笊ケ岳、布引山の山塊も美しい〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈夕陽を浴びる富士山〉

 

 

 

殆ど森林の中を歩き通した一日であった。好天に恵まれたが、少し勿体ない感じであった。ほぼ一日稜線歩きとなる明日に取っておきたい天気であった。見事な夕陽は、明日の好天も約束しているようだ

 

 

 

《9月22日(土)・第2日目》

 

千枚小屋5:48・・・・6:17二軒小屋方面分岐・・・・6:37千枚岳(2,879.8m)6:50・・・・7:43丸山(3,032m)7:48・・・・8:22悪沢岳(3,141m)8:50・・・・9:17鞍部・・・・9:58中岳避難小屋10:04・・・・10:09中岳(3,083.2m)10:14・・・・10:20鞍部・・・・10:24前岳(3,068m)10:28・・・・10:32鞍部(スットク捜索)10:52・・・・11:52荒川小屋12:19・・・・12:56大聖寺平・・・・14:13小赤石岳の肩・・・・14:31小赤石岳(3,081m)・・・・14:45東尾根分岐14:46・・・・15:08赤石岳(3,120.1m)15:15・・・・15:35東尾根分岐15:40・・・・16:48「冬季ルート入口」・・・・17:02富士見平・・・・17:35赤石小屋

〔総所要時間:11時間47分、昼食・休憩等:1時間57分、ロスタイム:0時間20分、正味所要時間:9時間30分〕

 

 

 4:30 起床

  午前4時30分に起床。約50%ほどの混み具合の小屋ゆえ、ゆっくりと眠ることが出来た。午前5時からの朝食をはさんでご来迎の撮影をした。午前5時30分頃になって雲間から朝日が昇ってきた。シルエットとなった富士山が美しい。

 

 

 

〈午前4時50分頃、東の地平が紅く染まる〉

〈午前5時に少し前、富士山が紅の空に浮ぶ〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈午前5時30分頃朝日が雲間から昇ってきた〉

 

 

 

 

 5:48 千枚小屋を出発

  朝日が完全に昇ったのを見てから千枚小屋を出立した。この日の旅程は長く、一刻でも早く出たかったのだがこの時刻になってしまった。朝日に照らされた朝の登山道は気持ちが良い。潅木の中の急坂を快調に千枚岳へ向け登って行った。

 

 

 

〈朝日を浴びる千枚小屋〉

〈千枚岳への道は潅木の中を通る〉

 

 

 6:37〜6:50 千枚岳(2,879.8m)

  今回の山行で最初に踏む山頂である。360度の大眺望が開けていた。これからずっとその光景と共にいて、行くほどに大きな眺望になることが分かっていても、やはり心動かされる光景であった。南アルプスの峰々などはこの後の山頂からの眺めに譲ることにして、千枚岳特有の光景を並べることにしよう。

 

 

 

〈千枚岳の三角点越しに丸山、悪沢岳の稜線を望む〉

〈朝日でシルエットになった笊ケ岳、布引山の山塊を望む〉

 

 

 

 

 

〈遥か北東方向の雲海に浮ぶのは秩父・奥秩父の連山か〉

 

 

 8:22〜8:50 悪沢岳(3,141m)

  千枚岳から丸山のピークを越えて約1時間半で悪沢岳(東岳)のピークに到達した。南アルプス南部の最高峰である。ここからは南アルプスの殆どの峰々が見えるという。好天に恵まれたこの日、千枚小屋の人達からは「悪沢岳で2時間くらい過ごすと良い」などと言われてやってきた。そう長逗留をする訳にはいかないが、大眺望を楽しんでいると瞬く間に30分が過ぎてしまった。全く素晴らしい眺めであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈悪沢岳から北方の眺め。南アルプス北部の名峰が並立している〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈悪沢岳から南方の眺め。大井川の渓谷を形成する険しい峰々が並ぶ〉

 

 

 

 

 

 

 

〈遥か東方の雲海上に浮ぶ富士山〉

〈午後には辿り着く赤石岳方面の眺望〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈切り立った崖の先に中岳の巨体が構える〉

 

 

 

10:09〜10:14 中岳(3,083.2m)

  悪沢岳山頂から一気に中岳との間のコル(鞍部)に下る。標高差220メートルほどか!殆どが草付きの急坂であるが、岩の間を辿る部分もあった、難所といえば難所か!そこから今度は中岳へ登り返す。鞍部辺りは細尾根であるが、登るほどにしっかりとした道になる。約40分で頂上直下の中岳避難小屋に着く。9月末までいるという小屋番さんに遥か南方の大無間岳(だいむげんだけ)、小無間岳の眺望のご指南を戴いた。小屋から中岳頂上まではほんの少しの距離である。ここからも周囲360度の大眺望である。

 

 

 

〈悪沢岳と中岳との間のコルから悪沢岳西壁を見上げる〉

〈コルから中岳への登山道脇の石仏〉

 

 

 

 

 

〈中岳への登り道から悪沢岳を振り返る〉

〈悪沢岳を背にした中岳避難小屋を後に中岳山頂を目指す〉

 

 

 

 

 

〈中岳の山頂、ここも周囲360度の眺望だ!〉

〈中岳山頂からの赤石岳(左)・前岳(右)の眺望〉

 

 

 

 

 

〈三伏峠方面からの長い尾根筋、いつか辿ってみたいもの・・・〉

〈遥か北西には北アルプスが雲の上に望める、槍ヶ岳のようだ〉

 

 

10:24〜10:28 前岳(3,068m)

  中岳頂上から5〜6分で前岳との間の小さな鞍部に着く。ここから荒川小屋に下る道が分岐している。前岳の頂上がすぐ目の先に見えたので、分岐にザックをデポして行ってみた。西面は頂点の直ぐ足元から大崩落をしており、今の頂上もいつまでも安泰ではないようだ。ここから北の三伏峠に続く長い尾根筋はいつか辿ってみたいところだ。

 

 

 

〈前岳山頂から赤石岳方面を望む〉

〈前岳の西面は大崩壊をしており、前岳頂上もやがて崩れそう〉

 

 

10:32〜10:52 中岳・前岳の鞍部(ロスタイム)

  前岳から分岐の鞍部に返ってきて手に持っている筈のストックがないことに気付いた。どうも前岳の頂点付近に忘れてきたに違いないと引き返してみたがなかった。さすればその前の中岳山頂かと、些か億劫ではあったが赴いてみるとそこにあった。そんなことで、ロスタイム20分。体力、気力のロスはもっと甚大!加齢による忘れ物の類か?情けない限りである。

 

11:52〜12:19 荒川小屋

  中岳と前岳との鞍部から標高差約450メートルを下って荒川小屋に着いた。足場の悪い砂礫地を下る、この先の赤石岳への登りを考えれば絶望的とも思える大下りであった。もう昼になっていたので、体力・気力をつけるために小屋でカレーライスを頼んで昼食とした。悪沢岳から前になったり、後になったりしていた男性2人組と一緒になっての小屋食であった。食後、小屋下の水場で冷たい水を補給してから出発。

 

 

 

〈鞍部から荒川小屋への下りとその先の赤石岳を望む〉

〈荒川小屋、その背後は下ってきた中岳・前岳からの大下り〉

 

 

14:31 小赤石岳(3,081m)

  荒川小屋から小赤石岳へは標高差約500メートルの登りとなる。大聖寺平までの30分余りはハイマツの緩やかな高原状の道を行く気持ちの良いところであった。大聖寺平からは、一転険しい登りとなった。登るほどに足元は悪く、傾斜は険しくなっていった。それと共に、山上の天気は俄かに変化して、高みには霧が巻き始めた。2時間余りの厳しいアルバイトの末にたどり着いた小赤石岳の山頂は完全に霧の中であった。

 

 

 

〈荒川小屋から大聖寺平までは緩やかな高原の散策路だ!〉

〈大聖寺平から霧が巻き始めた赤石岳を見上げる〉

 

 

 

 

 

〈砂礫の急坂を小赤石岳の肩を目指して登り続ける〉

〈霧に巻かれた小赤石岳の頂上〉

 

 

 

 

 

〈東尾根分岐付近から見上げた小赤石岳〉

 

 

15:08〜15:15 赤石岳(3,120.1m)

  小赤石岳はワンタッチで通過して霧に隠れた赤石岳に向かった。途中の東尾根分岐で、この日の小屋を赤石小屋にするか山頂直下の赤石避難小屋にするか迷っていたのを前者にすることに決めた。小屋に向かう前に、分岐にザックをデポして赤石岳山頂まで往復した。概して霧に巻かれていたが、時折サービスにその霧が晴れて山容を見せてくれたのはラッキーであった。

 

 

 

〈東尾根分岐付近から霧の赤石岳を見上げる〉

〈霧に巻かれた赤石岳への登り〉

 

 

 

 

 

〈赤石岳の山頂とその直下の避難小屋〉

〈稜線に霧が出ると、ブロッケン現象も見られる!〉

 

 

15:35〜15:40 東尾根分岐

  分岐に返るともう午後3時半を回っていた。地図では赤石小屋まで2時間半となっている。最後はヘッドランプで足元を照らすことを覚悟して下山を始めた。赤石岳東側のカール地形に下ってから東尾根に取り掛かる険しい道のようであった。とにかく急ぐことにして、途中写真を撮ることも控えた。断崖絶壁に鉄パイプで危うい橋を掛けただけのところが何箇所もあったが、それらを見返すこともなくドンドンと先に進んだ。午後5時頃に小屋まであと30分程の富士見平に到達したときには、「ヤレヤレ」といった気持ちになった。夜の帷の訪れの恐怖に迫られながら、緊張して山道を急ぐのも山旅の醍醐味だと思うのは強がりであろうか!

 

 

 

〈下山を始めて赤石岳の東壁を見上げる〉

〈富士見平は大眺望地らしいが、この日は霧の中であった〉

 

 

17:35 赤石小屋

  かくして明るいうちに赤石小屋に着くことが出来た。午後6時過ぎからの夕食では、何と冷たいビールが旨かったことか!!

 

 

 

〈夕闇迫る頃に赤石小屋に到着〉

〈見上げれば霧の中から赤石岳が姿を現していた〉

 

 

 12時間近い山旅の一日であった。南アルプスのほぼ全容を眺めることの出来た好日。天に、山の神に感謝である。そして、元気に、快調に歩いてくれた、わが両脚も褒めてやらねばならない。

 

 

 

《9月23日(日)・第3日目》

 

赤石小屋6:17・・・・8:06林道跡8:10・・・・9:33赤石岳登山口・・・・9:37椹島ロッジ入口====10:16畑薙大吊橋10:23====10:34畑薙第1ダムサイト下手・・・・10:48畑薙夏期駐車場

〔椹島ロッジ入口まで  総所要時間:3時間20分、休憩等:0時間07分、正味所要時間:3時間13分〕

 

 4:25 起床

  午前4時50分からの朝食を終え、下山支度をしてから赤石小屋の裏手のヘリポートに上がり日の出の時刻を待った。この小屋から直接に日の出は見えないので、朝日で紅く染まる赤石岳を撮ろうとの心算であった。やや曇り勝ちで文句のないモルゲンロートとまでは行かなかったが、なんとか紅く染まった赤石岳を撮ることが出来た。また、ヘリポートから見た荒川三山は一際大きなものに見えた。

 

 

 

〈モルゲンロートに染まる赤石岳〉

〈赤石小屋から見る荒川三山は一際大きい〉

 

 

 6:17 赤石小屋を出発

  この日は椹島まで下るだけであった。椹島を午前10時に出るバスに間に合えばいいので、写真撮影などのんびりと赤石小屋の周辺で過ごしてから下山を開始した。椹島までの東尾根は樹林に覆われてほとんど周りの眺望を得ることは出来なかった。3時間余の下りの歩行は、それだけにやや単調な感じであった。

 

 

 

 

〈小屋裏のヘリポートから朝の赤石小屋、赤石岳を望む〉

 

 

 

 

 

〈東尾根は樹々が繁り眺望は望めない〉

〈時折樹間に朝日の射す周囲の峰が垣間見える〉

 

 

 

 

 

〈シラビソの森の中を快調に下って行く〉

〈ヤマハッカ:香りハッカそのものであった〉

 

 

 9:33 赤石岳登山口

  3時間を切る時間での下山を狙っていたが、3時間15分ほどかかってしまった。下りた所は、前々日に送迎バスから降ろしてもらった椹島ロッジ入口の直ぐ近く。午前10時のバスの時刻が迫っているので、下山の余韻に浸る間もなく椹島ロッジへ急ぐことにした。

 

 

 

〈3時間余り歩いて椹島の登山口に下った〉

〈椹島ロッジの敷地への入口〉

 

 

 9:37 椹島ロッジ入口

  椹島ロッジへ向かって下って行っていると、乗客を乗せた早出の送迎マイクロバスが上ってきた。運転手が一座席空いているので乗らないかと声を掛けてくれた。断る理由もないので、そのままバスの中の人となった。お陰で一大登山基地となっているという椹島をつぶさに観察する機会がなくなってしまった。

 

10:16〜10:23 畑薙大吊橋

  畑薙第1ダムの上流部に架かる総延長181.7メートル、幅20センチメートルという長大で細い吊橋を見た。茶臼小屋、茶臼岳への登山口にあたるとのことであるが、よくぞこんな橋を架けようとの想像力を持ち合わせたものだと感心するやら呆れるやら。途中まで行ってみたが、とても気持ち良く渡れるものではない。ゲテモノの類と言ったら叱られるだろうか。ともかく想像を絶する橋である。

 

 

 

 

 

 

〈畑薙大吊橋:茶臼山への登山口にあたる〉

 

 

 

 

〈畑薙第1ダム湖にかかる延長181.7mの橋だ〉

 

 

10:34 畑薙第1ダムサイト下手

  畑薙第1ダムサイトのやや下手までバスに乗せてもらった。そこから駐車場まで歩く。日曜日とはいえ、県道の崩落場所では復旧工事が続けられていた。

 

 

 

〈畑薙第1ダムの堰堤を望む〉

〈復旧作業の続く台風4号による崩落箇所〉

 

 

10:48 畑薙夏期駐車場

  3日間に亘る山旅を無事終えて愛車の待つ畑薙夏期駐車場へ帰って来た。3連休の中日であるせいか、来た時よりも駐車している自動車の数ははるかに多かった。ここから、また広島までの長距離ドライブが待っている。早々に支度を整えて帰路に就くことに・・・。その前に近くの無料の白樺荘の温泉に入って3日間の汗と垢を流すことにした。

 

 

 

〈一段と自動車の増えた畑薙夏期駐車場〉

〈下山後近くの白樺荘にて入浴〉

 

 

 

〔山行所感〕

  大きな構えの峰々、見事な樹林の中の道、直ぐ近くには日本一の富士の山・・・・、まさしくこんな想像した通りの南アルプス核心部への山行であった。異常とも思える夏のような天候の下、天気にも恵まれて快適に標高3000メートルの天上を歩き、南アルプスの殆どの峰々を眺望できたのは幸運であったと思う。こんな山行は、何年かに1回のあるかないかの稀有なことと思い、山の神、天の神に感謝感謝である。

 

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