世界遺産安芸の宮島の秘峰を再訪する 岩船岳(466.6m

広島県廿日市市宮島町

2007年9月30日(日)   月光さん+仁王さん夫妻+門久

 

 

 

 

 

 

〈長い縦走路から遥か岩船岳を望む〉

 

 

 

この2年間某大学の宮島講座に参加して宮島への造詣を深めている月光さんが岩船岳に行きたいと言う。

ここは長いトレイルを辿る山・・・、日が短くならないうちにとこの日に出かけることとした。同伴するのは仁王さん夫妻。

2004年2月以来の再訪であるが、長いトレイルの羊歯の道は一層荒れていて、

岩船岳はまだまだ秘峰の部類に入れても良さそうだった。

もっともっと多くの人々に訪ねてもらって、登山道も整備されることを願っているのであるが・・・・。

 

《山行記録》

宮島桟橋7:30・・・・7:40厳島神社大鳥居・・・・7:49大元公園7:51・・・・7:57前峠分岐・・・・8:02(雨具ズボン履く)8:08・・・・8:53前峠乗越・・・・8:56前峠・・・・9:17多々良林道(岩船岳登山口)9:28・・・・9:42先峠・・・・10:13青海苔浦方面分岐・・・・10:27眺望岩10:30・・・・10:51八畳岩10:52・・・・11:01大川越11:02・・・・11:46東峰11:47・・・・11:59岩船岳(466.6m)13:10・・・・13:55大川越・・・・14:53十字路(大川浦)・・・・16:08室浜砲台跡16:13・・・・16:20広島大学宮島自然植物園・・・・16:41多々良・・・・17:16大元公園・・・・17:46宮島桟橋

〔総所要時間:10時間16分、昼食・休憩等:1時間42分、正味所要時間:8時間34分〕

 

 

 7:30 宮島桟橋

  早朝に自宅を出た時には細い雨が降っていた。午後に向けて天気は好転するようなので山行を決行することに。山陽線の電車で宮島口駅へ、宮島口桟橋から連絡船で宮島へ渡った。海上から見る宮島はまだ霧に包まれていた。

 

 

 

〈朝の宮島は雨上がりの霧に包まれていた〉

〈遥か岩船岳は霧から頭を出したところ〉

 

 

 7:49〜7:51 大元公園

  まだ観光客の姿も少ない宮島の街を抜けて大元公園へ。ここから前峠(まえだお)への道に入り、峠を越えて多々良林道に出て、そこにある岩船岳への登山口に先ず赴く。前峠への登山道は、相変わらず倒木累々といった状態で荒れていた。雨で濡れた羊歯の中を行くので雨具のズボンを穿いた。峠を越えて多々良林道へ下る道は、羊歯が伸びて道を覆う部分が多かったがまずまずのコンディションであった。

 

 

 

〈静かな朝の大元公園〉

〈「この先行き止り」の道を前峠へ向かう〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈倒木累々の道に突然の闖入者に驚く鹿の姿が・・・〉

 

 

 

 

 

 

〈前峠乗越に掲げられている手書きの指導標〉

〈前峠を越えて羊歯の道を多々良林道へ下って行く〉

 

 

 9:17〜9:28 多々良林道(岩船岳登山口)

  岩船岳登山口に出て暫し休憩を取った。雨の後で湿度が高い上に、雨具のズボンを穿いているので暑くもう全身汗だくだった。ここから縦走路の走る先峠へと登って行く。

 

 

 

 

 

 

〈多々良林道にある岩船岳への登山口〉

 

 

 

〈多々良林道への下りから先峠を見上げる〉

 

 

 

 9:42 先峠

  先峠で奥の院方面からの縦走路と合流する。縦走路は先峠山(402m)の南東側の裾を巻いてからやがて低くなった尾根に乗って南下する。道はあまり歩かれていないらしく、概して羊歯で覆われ、夥しい蜘蛛の巣がかかっている。その羊歯は朝方まで降っていた雨を帯びており雨合羽のズボンなしではとても歩けない。雨具の下はとても暑くて、汗が出て衣類を湿らせている。先頭は蜘蛛の巣を払いながら前進することを余儀なくされる。先頭を行くのは、チェックし続けなければならない事柄が多く、なかなか大変だ。縦走路の先には岩船山の姿が、351mピーク手前の岩の上からは安芸灘が、351mピークを越えたところにある八畳岩からは大野瀬戸や経小屋山方面の眺望が開けている。

 

 

 

〈先峠に登り、いよいよ縦走路を行く〉

〈粘っこい羊歯の繁る縦走路〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈縦走路から岩船岳(右)と阿多田島(左)を望む〉

 

 

 

11:01〜11:02 大川越

  大川浦に下る道が右側に下って行っていた。かなり荒れているようだった。ここからいよいよ岩船岳の山体そのものに登って行くこととなる。一段と羊歯が深くなって行き、傾斜もきつくなり虎ロープの張られた箇所も多い。我慢・我慢の登りが長い間続く。最後の厳しい登りと思って到達したピークは実は偽の頂上の東峰である。ここからなお一つのピークを越えて行かなければ頂上には立てない。

 

 

 

〈大川越にあった案内図、時間は正確ではないようだ〉

〈ニセ頂上の東峰から本物の頂上方面を眺める〉

 

 

11:59〜13:10 岩船岳(466.6m)

  宮島桟橋から4時間半かかって岩船岳頂上に到着した。樹々に囲まれた狭い頂上広場の中央にある三等三角点にタッチし、記念撮影をしてから、頂上から南に張り出した岩尾根の棚の上で昼食を摂った。安芸灘の島々が眺望出来た。1時間以上もそこに留まり鋭気を養った。帰路に就いた頃には、曇っていた空も晴れ間が見えるようになっていた。

 

 

 

〈岩船岳頂上広場にある三等三角点〉

〈頂上近くの岩場から阿多田島を望む〉

 

 

 

 

 

〈こちらは小黒神島と能美島〉

〈宮島最南端の先には岩国、大竹の街が望める〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈宮島主稜の先には502m峰が聳える〉

 

 

 

〈午後には晴れて、木洩れ日の中を下山開始>

 

 

 

13:55 大川越

  大川越から大川浦への下山路は予想以上に荒れていた。ここを通る登山者の数は少ないようだ。深い羊歯に覆われて道が消えて、時折ルートファインディングを強いられたり、倒木の枝打ちをして前進といった箇所も2箇所ほどあった。精神的なプレッシャーは強く、実際にかかった時間より、遥かに長い時間歩いたように感じた。

 

 

 

〈大川越からの下山路も羊歯の中の踏み跡だ〉

〈かなり荒れており、ルートファインディングも大変だ〉

 

 

14:53 大川浦

  大川浦近くで海岸沿いの道に出る。ここからも、海岸部のいくつかの小さな尾根を越えながらアップダウンを繰り返す決して楽ではない道が続く。しかし、尾根上や段丘の上から見る大野瀬戸は美しく、苦しいばかりの道ではなかった。

 

 

 

〈大川浦近くの分岐点、ここから海岸に沿っての道となる〉

〈小尾根越えの途中大川浦を振り返る〉

 

 

 

 

 

 

 

 

〈カキいかだの浮ぶ大野瀬戸〉

 

 

 

〈美しい浦を通過する〉

 

 

 

 

 

 

〈海岸部の小尾根から岩船岳を眺める〉

〈羊歯で覆われた段丘を行く〉

 

 

16:08〜16:13 室浜砲台跡

  広島大学の自然植物園に隣接した室浜砲台跡に立ち寄ってみた。海岸沿いの道からわずか50m外れたところにある。明治37年の日露戦争開戦直前に完成した広島湾要塞の跡とのこと。日本の近代化の遺産がここ宮島にもある。

 

 

 

〈1時間近く海岸部を歩いて、やっと広大植物園が見えてくる〉

〈明治時代に造営された室浜砲台の跡〉

 

 

16:20 広島大学宮島自然植物園

  広島大学の自然植物園からは車道を歩くことになる。あまり自動車は来ないだろうと勝手に思っていたが、思った以上にやって来るのでやや緊張した車道歩きとなった。地道から舗装道になると、やはり足への負担が大きく感じられた。

 

 

 

〈広大自然植物園からは舗装道路となる〉

〈大元公園付近の車道〉

 

 

17:46 宮島桟橋

  厳島神社の門前の商店街のもみじ饅頭屋さんに立ち寄ってお土産を買い、お茶と温かいもみじ饅頭を戴いてから桟橋へ帰着した。夕暮れの中連絡船に乗り帰路に就いた。

 

 

 

 

 

 

〈連絡船からこの日歩いた山域を眺める〉

 

 

 

 

〔山行所感〕

  岩船岳へ行くとなるとやはり一種独特の緊張感がある。長いアプローチに、時間との闘いを強いられるからである。

今回は10時間余の時間を費やすることとなった。2004年2月には同じルートで8時間22分であったので今回は随分と時間を要した。要因としては、登山道が随分と荒れていたこと、夏のような暑さの中を雨具のズボンを穿いて歩かざるを得なかったこと、蜘蛛の巣を払いながらの歩行など、時間を喰う条件が揃っていたことが挙げられよう。岩船岳はこのようにちょっとした条件の違いが負荷の大きな変化となるほどに、タフなところであることは間違いない。

秋10月は、本来であればもっと爽快な気候条件なのであろうが、今年はまだ最高気温が30℃近い暑さと高湿度の毎日で、岩船岳へチャレンジするには不適であったようだ。

 

 

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