寄り道、廻り道をして 二ヶ城山(483.2m)

広島市安佐北区・東区

2007年12月24日(月)     門久単独

 

 

 

 

〈山深い稜線上にある大正13年建立の「雨乞の碑」〉

 

 

日曜日と重なった天皇誕生日の振り替え休日となったこの日

その前の二日間の悪天候から一転まずまずの天気となった。

三連休を自宅で愚図愚図と過ごすのも精神衛生上宜しくないと、

喉風邪をひいた身体に鞭打って、近場のニヶ城山へ散歩を兼ねて出掛けることとした。

単独行の気楽さから未だ登ったことのない、

中国電力の送電線滝川山線の通る尾根ルートから登ることとし、

そのルートを登る前に最近付けられたばかりの「雨乞の碑」への道標に従って

奥深い山中にあるその碑を訪ねてみた。

この寄り道、廻り道でちょっとひと歩きの積もりが意外に長い山歩きとなってしまった。

 

《山行記録》

 高陽中央霊園9:26・・・・9:31中国電力送電線巡回路分岐(「雨乞の碑」の道標)・・・・9:35谷間の分岐(道標に従って左へ)・・・・9:52石積みのある谷間9:56・・・・9:56「雨乞の碑」10:02・・・・10:09稜線ピーク10:12・・・・10:17「雨乞の碑」10:18・・・・10:37谷間の分岐・・・・10:40中国電力送電線巡回路・・・・10:45「滝川山線86号鉄塔」・・・・11:02「同88号鉄塔」11:06・・・・11:14二ヶ城山林道への下り口・・・・11:16縦走路に合流・・・・11:2090号鉄塔」・・・・11:38「登石コース分岐」・・・・11:41「広島西幹線4号鉄塔」11:44・・・・12:02「馬木八幡神社コース分岐」・・・・12:04二ヶ城山(483.2m)12:16・・・・12:22千畳敷・・・・12:23展望岩12:26・・・・12:31口田南方面分岐・・・・12:40前峰・・・・12:49展望所12:50・・・・12:56一服岩12:59・・・・13:22登山口・・・・13:30口田中学校前バス停

〔総主要時間:4時間04分、休憩等:0時間40分、正味所要時間:3時間24分〕

 

 

9:26 高陽中央霊園

 出発は山陽高速道を跨ぐ上岩上橋を渡ったところにある高陽中央霊園前。橋を渡ったところにある駐車スペースには2台の自動車が停まっていた。どうもニヶ城山への先客であるようだ。霊園前から始まる林道を辿って山中へと入って行く。

 

 

 

〈登山口の霊園の石仏に見送られて二ヶ城山へと向かう〉

(登山口から約5分で送電線巡回路が左に分かれる〉

 

 

9::31 「雨乞の碑」の道標に導かれて送電線巡回路へ

 霊園から5分程歩いたところで中国電力の送電線巡回路が左に分岐している。例によって比較的きれいに手入れされている道だ。この巡回路の入口につい最近「雨乞の碑」という道標が立った。どのくらい行ったところにあるのか分からないが、単独行の気楽さから道標を辿ってみることにした。

 巡回路に入って約1分後にその巡回路から左に分かれ、潅木の中の溜池の上を抜けて小さな橋を渡ってから小さな谷間に入って行った。その谷間を進むことも暫しでまた道標があり左側の尾根筋へと導いてくれた。この尾根筋の道は踏み跡然としたもので、時に道を失いそうになったりはしたものの、何とか先に先にと進んで行けた。

 

 

 

〈送電線巡回路入口に立つ「雨乞の碑」の道標〉

〈かなり荒れた踏み跡を辿り「雨乞の碑」へと向かう〉

 

 

 

 

 

〈道に迷ったかと懸念し始めた頃に道標が現われた〉

〈道中で立派なミズナラの樹に出会った〉

 

 

9:56〜10:02 「雨乞の碑」

 踏み跡の道がかつて人間の何らかの営為があったことを窺わせる石積のある谷あいで消えてしまって途方に暮れそうになったところで尾根筋に上がってみて、そこに「大正13年9月1日 雨乞紀念 岩上区民建立」と刻した自然石の碑を見付けることが出来た。高さは私の胸の高さほどであった。今でも小さな溜池しかなくもっぱらニヶ城山山塊からの湧き水に頼っている麓の水田である。日照り続きの水不足となれば大変なのはよく理解できるところである。大正13年の夏はきっと日照り続きであったのであろう。こんな山深いところまで登ってきて雨乞いの神事を行い、それが効を奏したのであろう。今山中に立って、その時代の農民の苦しみと喜びを共有できるような気がした。

 

 

 

〈打ち捨てられたように横たわる道標、ちょっと悲しくなる光景だ〉

〈山中の奥深いところに、人の為した石積があった〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

50分間の山中彷徨の末に碑に辿り着けた〉

 

 

10:09〜10:12 稜線ピーク

  「雨乞の碑」に出会えてひと満足し、そのまま尾根筋を辿ればニヶ城山から木ノ宗山への縦走路に出ることが出来るのではなかろうかと、道なき尾根筋の潅木や羊歯を掻き分けて登って行ってみた。10分も経たないうちにその稜線上のピークに到達したが、そこは主稜線上ではなく主稜線から北側に派出した支尾根上であるらしかった。分厚い羊歯が山肌を覆っており、主稜線の方へ漕いで行くのは容易ではないようであったし、地図を持たずに来たので冒険は止めて、来た道を引き返すことにした。

 

10:40 送電線巡回路

  「雨乞の碑」へは1時間10分ほどの寄り道であった。再び送電線の巡回路に戻った。この巡回路は落合から二ヶ城山への登山道である林道の通る谷間の東側の尾根筋に敷設されている。そこを辿れば木ノ宗山へと至る主稜線に合流することが出来る。概して険しい坂道が長々と続くルートだ。途中にある送電線鉄塔の足元から眺望が開けて、疲れを忘れさせてくれる。今回初めて歩いた道であったが、意外に魅力的なルートと感じた。

 

 

 

〈送電線巡回路に返って二ヶ城山・木ノ宗山間の主稜を目指す〉

〈主稜への道は中国電力の送電線・滝川山線に沿って行く〉   

 

 

 

 

 

〈滝川山88号鉄塔から高陽ニュータウン〜可部方面、阿武山を望む〉

 

 

 

 

 

〈88号鉄塔の対面がニヶ城山の頂上部へ続く尾根筋だ〉

〈主稜線まではまだまだ遠い〉

 

 

11:16 二ヶ城山・木ノ宗山縦走路

  意外に長い巡回路歩きの末に主稜線に合流した。ここからは馴れ親しんだ世界である。一旦主稜線上の鞍部に下ってからずり落ちそうな急傾斜地をよじ登る。夏場はじめじめとした感じの湿っぽい鞍部であるが、冬季の今は樹々の葉も落ちて明るく感じられた。登石コースの道を合わせ、広島西幹線の鉄塔の足元を過ぎて、再び急激の高度を上げて行くと、馬木八幡神社からの道を合わせる。     

 

 

 

〈送電線巡回路を詰めること40分足らずで主稜線に出た〉

〈主稜線から馬木の登石方面へ下る道が分かれる〉

 

 

 

 

 

〈主稜線を辿って行くと大きいな広島西幹線の4号鉄塔の下を通る〉

〈広島変電所のある馬木の街と藤ヶ丸〜呉娑々宇山の稜線を望む〉

 

 

 

 

 

〈4号鉄塔越しに高鉢山を望む〉

〈主稜線上に踏み分けの細道が続く〉

 

 

 

 

 

〈ニヶ城山への上りから遥か白木山々塊と、手前の辿って来た山域を望む〉

 

 

12:04〜12:16 二ヶ城山(483.2m)

  馬木八幡神社からの道を合わせるとニヶ城山の頂上はもう直ぐだ。比較的天気の良い日であったが、この日山頂には登山者の姿がなかった。やや霞む大気越しではあったが、案外に遠くまで望むことが出来た。暫し、この景色を独り占めしてから、正午を過ぎてしまっていたので下山の途に就いた。

 

 

 

〈ニヶ城山山頂直下で馬木八幡神社からコースを合わせる〉

〈ニヶ城山山頂の三等三角点〉

 

 

 

 

 

〈ニヶ城山山頂から海田湾方面を遠望する〉

〈岩屋観音のある高尾山の尾根の遥か先に絵下山を望む〉

 

 

12:23〜12:26 展望岩

  下山は口田南(矢口が丘)へのルートを採ることにした。その分岐の手前の千畳敷の先にある展望岩に立ち寄ってみた。やや霞む中ながら松笠山越しに広島湾が見事に見渡せた。ニヶ城山に登山されるに際しては、是非とも立ち寄って頂きたいところだ。

 

 

 

〈千畳敷の先の展望岩からは広島湾方面の大きな眺望が広がる〉

〈松笠山、牛田山越しに広島市街地と宮島を望む〉

 

 

 

 

 

〈展望岩からの南西方面の大眺望〉

 

 

13:22 矢口が丘登山口

  千畳敷から落合ルートの小ピークを一つ越えたところに口田南への下山路の分岐がある。このルートは暫し支尾根上の羊歯の中を行き、小さなピークあり、展望地ありの眺望にも恵まれた楽しい道である。一服岩という露岩の上で休憩を取ったあとは、しばし急坂を下ることになる。赤松の葉が積もっている坂道はよく滑るので十分に気を付けなければならない。急坂を下り切れば、地元の人たちの手でよく手入れされた登山道が矢口が丘団地の最上部まで続いている。便数は少ないが団地までバスが入ってきており、団地上部の口田中学校前か矢口が丘上のバス停でバスに乗れる。

 

 

 

〈矢口が丘へ下る支尾根上の展望所から緑井方面を望む〉

〈支尾根の先にある一服岩、岩上からの眺望も仲々に良い〉

 

 

 

 

 

〈よく手入れされた登山道を辿って下って行く〉

〈矢口が丘団地の最上部にある登山口〉     

 

 

 

 

 

 

 

〈ニヶ城山登山地図(赤線がこの日辿ったルート)

 

 

〔山行所感〕

  散歩がてらの山歩きのつもりで家を出たが、「雨乞の碑」見物の寄り道、滝川山線巡回路の尾根歩きの遠回りとついつい興に乗ってしまって比較的長い山歩きになってしまった。しかし、近場の慣れ親しんだ山であっても、ちょっと視点を変えればまだまだ魅力に満ちたルートがあるのだということに、またしても気付かせてもらった。そうしたことで、今回も新鮮で感動に満ちた山行であったといえる。

 

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