残雪の縦走路・尾根を歩く 十方山(1,318.9m)
広島県山県郡安芸太田町・廿日市市吉和町
2015年4月12日(日) 山の会8名(門久が参加)
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〈残雪の十方山北尾根の縦走路を歩く〉 |
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山の会の定例山行で内黒峠から北尾根を縦走して十方山へ行ってきた。
新年度に入り、今年の山域研究の舞台としている十方山への初回の山行という位置づけである。
縦走路にどれ程の雪が残っているかが、この日の山行の難易度を決める最大の要素であったが、
丸子の頭北面や三ツ倉の山域にかなり残っていた雪は固く締まって壺足でも容易に歩けたことから、
気持ち良い早春のハイキングを楽しむこととなり、快調に山頂に達するが出来た。
こうなっては下山路は一般ルートを排することとして、十方山最高点から水越峠へ下る西尾根の薮ルートを採ることとした。
《山行記録》
内黒峠9:09・・・・9:39彦八(1,166m)8:43・・・・9:52ワル谷キビレ・・・・10:06彦八の頭(1,151.9m)・・・・10:28カサゴヤキビレ・・・・10:32藤本新道分岐10:40・・・・11:17丸子の頭(1,236.3m)11:21・・・・11:54前三ツ倉(1,312m)11:55・・・・11:56那須分れ・・・・12:17奥三ツ倉(1,322m)12:20・・・・12:31論所・・・・12:44十方山(1,318.9m)13:27・・・・13:38十方山最高点(1,328m)・・・・14:34獅子ヶ谷登山口14:37・・・・15:15二軒小屋駐車場 〔総所要時間:6時間06分、昼食・休憩等:1時間06分、正味所要時間:5時間00分、歩行距離:11.5q、累積標高差:+723m、-914m〕 |
9:09 内黒峠
CLのF井氏と下山予定の二軒小屋に車を一台配してから、メンバーと共に内黒峠を出発した。今日はSLを務めるので先頭を歩く。杉林の中の急坂を抜けるとブナ林に出た。最初の小ピークに達する前に日陰で残雪の小さな塊に出合った。小ピークを越えて左手に戸河内へ下りて行く峠道を見ながら縦走路を南下して行った。内黒峠から30分で彦八(1,166m)に到達した。彦八のピークからひと下りしてワル谷キビレから彦八の頭(1,236.3m)への上りに掛かると縦走路が雪に隠されていた。この日最初の残雪らしい雪であったので用心して踏み込んでみると、しっかりと締っており壺足で安心して歩けた。約3分でその残雪を乗り越えた。残雪帯を過ぎるとヤブレガサの幼芽やエンレイソウの若い花が路傍に見られた。彦八の頭(1,236.3m)の三角点ピークを右に巻いてからカサゴヤキビレへ下り、数分登り返すと二軒小屋へと下る藤本新道分岐に出た。
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〈加藤武三記念碑のある内黒峠〉 |
〈彦八のピークで衣類調整を兼ねて休憩を取る〉 |
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〈彦八から遙か彼方に残雪の三ツ倉を遠望する〉 |
〈彦八西面から雪の消えた恐羅漢山を望む〉 |
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〈ワル谷キビレ〉 |
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〈雪が残っていた彦八の頭への上り〉 |
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〈ヤブレガサの幼芽〉 |
〈早くも花を付けたエンレイソウ〉 |
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〈彦八の頭西面から山頂部に雪が残る恐羅漢山を望む〉 |
〈砥石郷山からは雪が消えていた〉 |
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〈カサゴヤキビレ:右手は丸子の頭、遙かに前三ツ倉を望む〉 |
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10:32〜10:40 藤本新道分岐
藤本新道分岐で大休憩を取った。心あるメンバーは雪で傷んでいた案内標識の補強を行っていた。藤本新道分岐から直ぐの1,152mピークへは急坂登りを強いられるが、登ってみると美しいブナの林となる。個人的には好きな所だ。その小ピークを越えると今度はいよいよ丸子の頭(1,236.3m)への上りとなる。丸子の頭の北面に当たるなだらかな広々とした斜面は完全に雪で覆われていた。意外に長い雪道ではあったが、ここも何とか壺足で登って行くことが出来た。登山道は雪の下であったが、ピークを目掛けて登って行くと稜線部のピークへの分岐点に出た。分岐からひと歩きで四等三角点のある丸子の頭の山頂に達した。
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〈藤本新道分れ〉 |
〈藤本新道分れで暫し休憩〉 |
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〈1,152mピークはブナ林の美しい所〉 |
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〈稜線部に続く残雪が現れた〉 |
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〈残雪の中の上りが続く〉 |
〈丸子の頭への残雪の最後の上りは厳しかった〉 |
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11:17〜11:21 丸子の頭(1,236.3m)
丸子の頭からは裸の樹林越しに残雪に覆われた前三ツ倉から十方山の山容が望めた。山頂から縦走路に戻り前三ツ倉への上りに掛かると、ここも山の北面だけあってたっぷりの残雪で覆われていた。登山道の位置は勿論分らないので、なだらかな尾根らしき地形を追って登って行くと、縦走路からちょっと那須側に外れた前三ツ倉(1,312m)のピークに出合った。そこから至近の那須分れに出て前三ツ倉のピークから下って奥三ツ倉へと向かった。この標高1,300メートル程の台地も一面雪で覆われていた。奥三ツ倉に至る前にある小ピーク(これを中三ツ倉と呼ぶのであろうか)を奥三ツ倉と勘違いして、ちょっとルートを外れてしまった。直ぐに気付き、またメンバーにも注意喚起されて順路に戻り、この日初めて十方山にピークを望める奥三ツ倉(1,322m)に到達出来た。雪の消えた南斜面を論所に下り、そこから雪に覆われた十方山の北面を直登して二等三角点のある十方山々頂に達した。
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〈丸子の頭〉 |
〈丸子の頭の四等三角点〉 |
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〈前ミツ倉への尾根道を行く〉 |
〈前三ツ倉北面の残雪〉 |
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〈根明け〉 |
〈前ミツ倉のピーク〉 |
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〈那須分れの道標〉 |
〈中三ツ倉付近の残雪〉 |
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〈中三ツ倉から前三ツ倉を振り返る〉 |
〈奥三ツ倉北面の残雪〉 |
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〈奥三ツ倉からは吉和冠山、女鹿平山、羅漢山等の好眺望〉 |
〈ブナ林の向こう側に十方山を望む〉 |
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〈論所を通過中〉 |
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12:44〜13:27 十方山(1,318.9m)
この日の十方山には藤本新道を登って来られた女性2人組と立岩ルートを来られた単独行の男性の2組の姿があった。360度の眺望が広がる山頂はちょっと風が冷たかったので、我々は獅子ヶ谷ルートの登山道に入ったところで風を避けてランチタイムとした。山頂まで想定以上に順調に来たので、食事をしながら談義をして、下りは十方山最高地点(1,328m)から水越峠へと下る西尾根の薮ルートを採ることとした。極力獅子ヶ谷登山口に近い所に出ることとして、距離は約1キロメートル、標高差360メートルほど、所要時間1時間を想定した。登山道から外れて最高地点まで薮を漕いで行き、西面を覗いてみると尾根伝いにまだ潤沢な雪が残っていてくれた。時に雪が消えて薮を歩いたが、概ね尾根筋に雪が残っていてくれたお陰で効率良く下って行くことが出来た。最終部の標高1,070〜80メートル地点で水越峠に下る主尾根から分れて獅子ヶ谷登山口に向かう支尾根に乗った。それを辿って、ほぼピッタシカンカンで登山口に出た。
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〈360度の眺望の十方山々頂〉 |
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〈昼食後、十方山西尾根下降の戦術を練る〉 |
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〈十方山最高点(1,328m)から西尾根を下る〉 |
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〈残雪の西尾根の樹間に恐羅漢山を望む〉 |
〈暫し残雪の尾根を順調に下った〉 |
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〈雪が消えれば薮を漕ぐことになる〉 |
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〈獅子ヶ谷を挟んで丸子の頭を望む〉 |
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〈残雪が現れると、歩き易いその上を下った〉 |
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14:34〜14:37 獅子ヶ谷登山口
獅子ヶ谷登山口に出ると後は水越林道を二軒小屋まで歩くだけなので、先頭歩きのSLの任務を免除してもらった。林道にも分厚い残雪があり、この日は締まって難なくその上を歩けたが、これが腐れ雪となれば脚がズボズボ沈んで難儀をすること必至の状況と言えた。この日はラッキーであったようだ。この雪がなくなると路傍には沢山のフキノトウが現れた。ゴールも近く、リラックスして山菜採りにも興じながら下って行った。
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〈山頂から約1時間で獅子ヶ谷登山口に下った〉 |
〈獅子ヶ谷登山口〉 |
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〈水越林道を二軒小屋へと下り行く〉 |
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15:15 二軒小屋駐車場
二軒小屋の駐車場にはわが愛車と朝も停められてあった軽のバンの2台の姿があるだけであった。帰り支度をしていると渓流釣りをしていたというバンの主が現れた。運転手1名を内黒峠へ運んでもう1台の車を回送せねばならないので、わが愛車組は取り急ぎ先に二軒小屋駐車場を出発して内黒峠経由で帰路に就いた。
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〈予め車をプールしていた二軒小屋駐車場〉 |
〈スキーシーズンが終わり、空きスペースが広い二軒小屋駐車場〉 |
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〔山行所感〕
よく締まった残雪の十方山北尾根縦走路と西尾根を気持ち良く歩いた一日であった。風は立ち止まるとちょっと肌寒かったが、歩くには寒くなく、汗を掻くこともない絶好の高原ハイキング日和であった。真冬の積雪期の山も面白いが、春先のこうした残雪期の山もなかなかに魅力的だ。今年度は何度も十方山の山域に足を運ぶこととなるのだろうが、先ずは幸先良く山域研究初回の山行を成功裡に終えることが出来たようだ。
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〈この日の軌跡〉 |
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